日本の人気アニメ『クレヨンしんちゃん』商標登録をめぐって、もともとの商標権保持者である双葉社が中国で激しい戦いを繰り広げています。この争いから見えてくるのは、ちょっとでも隙を見せるとすぐに食いついてくる外国企業、世界の市場でビジネスをすることの厳しさではないでしょうか?

『クレヨンしんちゃん』に何が起こった?

<『クレヨンしんちゃん』問題のこれまでの経過>
これまでの経過表
中国本土では双葉社ではなく他の中国企業が先に商標登録してしまった
これまでの経緯を表にまとめると上のようになります。双葉社は『クレヨンしんちゃん』の中国語表記である『蝋筆小新(ラービィシャオシン)』を、1995年に台湾で商標登録しました。それから台湾でアニメや漫画が出回ったのですが、中国本土には全く手をつけないままでした。

ところが1997年に、中国の企業数社が『蝋筆小新』を本土で商標登録してしまったのです。その後それらの企業は別の企業に対して『蝋筆小新』のライセンスを供与し、『蝋筆小新』のキャラクターグッズなどが中国本土で出回るようになりました。

この事態に対し、双葉社側は2002年に中国本土で正規版の『クレヨンしんちゃん』の漫画を発売開始。さらに2004年4月には、双葉社が上海の企業に直接ライセンス供与して、その企業が正規品のキャラクターグッズを販売開始しました。

ところが、中国本土で最初に『蝋筆小新』という名前を商標登録していたのは自分たちだと主張する企業が出たため、双葉社が提供しているキャラクターグッズに、撤去命令が出たのです。撤去命令を出したのは、商標評審委員会という中国における商標登録を管理している機関です。

一旦は商品撤去された双葉社ですが、その後中国企業が持つ『蝋筆小新』の商標権の登録取消を、商標評審委員会に対して請求しました。しかし商標評審委員会はそれを却下、その理由としては「1997年に商標登録されてから8年黙認していたのは、中国における商標権の放棄と見なされる」ということでした。

双葉社側は商標評審委員会のその判断を不服として、今度は商標評審委員会そのものを訴える手続きを、北京市第1中級人民法院において進めました。しかし北京市第1中級人民法院もその訴えを退け、2006年の9月に中国企業の商標登録は正当なものであると認定したのです。

→この決定が下される根拠となった根本的な原則とは?