では、ここ5年の日本のGDPと物価(GDPデフレータ)の推移と景気の関係を見てみましょう。
平成8年度 (1996) | 平成9年度 (1997) | 平成10年度 (1998) | 平成11年度 (1999) | 平成12年度 (2000) | |
名目GDP | 515兆円 | 520兆円 | 513兆円 | 514兆円 | 513兆円 |
名目GDP成長率 | 2.6% | 1.0% | -1.3% | 0.2% | -0.3% |
実質GDP成長率 | 3.4% | 0.2% | -0.8% | 1.9% | 1.7% |
GDPデフレータ | -0.8% | 0.7% | -0.5% | -1.6% | -1.9% |
バブルの崩壊が1990年からおこり、1990年代の10年間は、日本経済の「失われた10年」と呼ばれることもあります。しかし、実質GDP成長率を見ると、1996年は+3.4%と、大きく生産が増えています。そうです!実は、90年代はずっと不況だったわけではなく、95,96年と景気が回復し、日本経済ももう大丈夫と皆が思う状況になったのです。この頃は、女子高生のピッチ(PHS)ブームによる携帯電話需要の大ブレイクと、阪神淡路大地震の復興のための建設需要が経済を引っ張りました。
しかし、97年には、実質GDP成長率は0.2%と急速に低下し、不況に戻ってしまうのです。これは、97年の4月の消費税の引き上げ(3%から5%)に代表される橋本政権の財政再建路線が原因といわれています。経済が回復したから財政再建を行おうとしたが、実は、まだ、日本経済は完全には回復していなかったから、財政再建を始めるのは早すぎたという評価が一般的です。さらに、拓銀の破綻、アジアの経済危機が起こり、日本経済は不況に逆戻りしてしまいました。
97年、98年と、実質GDP成長率は0.2%、-0.8%と低空飛行で不況が続きますが、平成11、12年は1.9%、1.7%と盛り返し、いよいよ景気回復か、という機運になります。これは、小渕政権の積極財政政策の成果といえるでしょう。しかし、同時に、巨額の財政赤字が今日の財政危機にもつながってしまいます。
また、98年から、物価(GDP)デフレータは-0.5%,-1.6%,-1.9%と下落しています。まさしく、日本はデフレ(=持続的物価下落)の状態に陥ったことがわかります。
なお、さらに詳しい分析は、内閣府のサイトから見ることができます。
第3弾 昔の経済学の主流-古典派の理論
です。