様々な方法で集められる製作費
巨額の製作費は銀行から融資を受けることも多い |
資金調達の方法として一般的なのは、普通の企業と同じように銀行から融資を受けることです。しかし5000万ドルや1億ドルといった大金は、普通に考えれば簡単には融資できません。日本の銀行で考えても、100億円の融資は相当厳しい審査を通らないと実行されないでしょう。
そこで利用されているのが、完成した映画の配給権を担保にして融資を受ける方法です。ハリウッド映画は完成すれば世界中に配給されます。そしてその配給を担っているのは、「メジャー」とも呼ばれている大手の配給会社です。
メジャーが配給を担っていれば、ある程度の配給は保証されています。配給メジャーから製作側に支払われる金額としては、最初の段階での買い取り額があったり、または興行収入などに関係なく最低額が保証されていたりします。つまり、製作側はある程度の製作費回収は見込めているわけです。その金額を担保にして、銀行から融資を受けられるのです。
また銀行としても、プロデューサーに名の知れた人物がいれば、それだけ映画の将来性が高くなり、融資もしやすくなります。そういった意味で、資金集めのためにも有名なプロデューサーを採用したりします。
ドイツの投資家から資金を集めた『トゥームレイダー』
2001年に公開された映画『トゥームレイダー』のことは、ご存知の方も多いでしょう。これは同名のゲームを題材にしたアクション・アドベンチャー映画で、世界中でヒットしました。この映画の製作費は約9400万ドル(111億円)だったと言われています。そしてその資金は、ドイツの投資家たちから集められていたのでした。当時のドイツには、国内の会社が映画を製作するにあたって資金を投資したら、その分は税金の控除を受けられるという仕組みになっていました。また単にドイツの会社であればいいだけで、ドイツで撮影をしたり、ドイツ人スタッフを雇用している必要もなかったのです。その仕組みをハリウッドは利用することにしました。
まずは、製作費集めのためにプライベートファンドを設立します。そのファンドは、ドイツの金融機関が売り出して、ドイツの投資家から資金を集めるようにします。さて、ドイツの投資家が税金の控除を受けるためには、『トゥームレイダー』がドイツの会社によって製作されていなくてはなりません。しかし実際に製作するのはもちろんハリウッドであり、ドイツの会社ではありません。ではどうするのでしょうか?
→ハリウッドの製作映画なのに、「ドイツの会社製作」にしてしまう方法とは?