国は過労を認めるのか?
国はどう守る? 働く人たち「心」と「体」の健康 写真提供:東京発フリー写真素材集 |
裁判で、社会保険庁は、
■横森さんの業務は、過重ではなかった
■業務と自殺との因果関係は、必ずしも認められない
■社会保険庁の健康管理に落ち度はない
など、全面的に争いましたが、その主張は認められませんでした。
国は10月7日、この第1審判決を不服として、東京高等裁判所に控訴しました。舞台は地方裁判所から高等裁判所へと移り、今後、第2審の裁判が始まります。
あなたは大丈夫?「心」と「体」の健康
前途洋々たる青年が、23歳の若さでなぜ、自ら命を絶たなければならなかったのか? 横森さんの自殺は人ごとで片付けられる問題でははく、長時間労働やメンタルヘルスは、職業を問わず、さまざまな職場で働く人たちが抱える問題です。公務員に限らず、民間企業に勤めるビジネスマンも、勤務表に載らないサービス残業を強いられたり、職場でこなせない仕事を自宅へ持ち帰ったりと、激務を抱え込んでいる人が少なくないのが実態。「ぼくも(私も)当てはまる」という方、多いのではありませんか? 改正された労働安全衛生法では、月100時間を超える残業をした場合に医師による面接指導の対象となります。「月100時間超」という線の引き方、はたして妥当と言えるでしょうか?ところで、「体」の健康と言えば、このところ大きな社会問題となっているのがアスベスト(石綿)の健康被害。アスベストは、肺がんや中皮腫(肺や心臓などの臓器をおおっている中皮にできる腫瘍)を引き起こすと言われる危険な有害物質です。今年6月、大手機械メーカーの工場近くの住民の訴えをきっかけにその被害が発覚した後、職場でアスベストを吸って中皮腫になったにもかかわらず、労働災害として申請してもわずか数%しか認められない(保険金はおりない)という働く人たちの悲惨な実態が明らかになっています。そんな中、11月29日になってようやく国は、被害者が支払う医療費や亡くなった被害者の葬祭料を企業から集めたお金で負担するなど、労災補償の対象にならない被害者を救済するための法律(石綿新法)の内容を決めました。今後、来年の通常国会に法案を提出し、正式な法律となる予定です。
さまざまな職場で働く人たちの「心」と「体」の健康を守るために、国に何ができるのか、何をすべきなのか? 働く人たち、雇う人たちがそれぞれ自分たちの問題として考えていく必要がありそうです。
【関連サイト】
●All Aboutのサイト
・仕事とストレス(All About「ストレス」)
・All About「心の病気」
・ストレス・疲れ・冷え(All About「睡眠・快眠」)
・季節の変わり目は体調に注意 ネットでできる健康チェック!(All About「フリーランス」)
●その他のサイト
・「労働安全衛生法等の一部を改正する法律案」について
・Yahoo!ニュース‐労働災害と過労死
・「過労死110番」全国ネットワーク
・Yahoo!ニュース - アスベスト健康被害