長期優良住宅/長く暮らせる家

アメリカの住宅平均寿命は44年、イギリスは75年! 日本の家が短命なワケ(2ページ目)

国土交通省の試算によると日本の住宅のライフサイクルは、非常に短いことがわかります。アメリカの住宅の平均寿命は約44年、イギリスは約75年に対し、日本は約26年。その理由や背景についても探っていきます。

大塚 有美

執筆者:大塚 有美

長く暮らせる家づくりガイド



◆希望している住宅の耐久性と平均寿命

「長く暮らせる家づくり」のガイドサイトでは、5月から6月にかけてのあなたの一票で、住宅の寿命についてアンケートを実施しました。その結果、下のグラフのように、ほとんど方が築40年以上を選びました。築20年くらいと答えた方は一人もなく、築30年、築40年もそれぞれわずかです。多くの方が、家の耐久性について、築40年以上を期待しているにもかかわらず、現状は、築26年程度で解体されていることになります。



このふたつの調査の数字を見て、どのように感じますか? あまりにも短いですよね。日本の住宅は、短期間で解体され、建て替えられているのです。

◆なぜ、日本の家の寿命は短いのか

日本の住宅のサイクルがこのように短いのはなぜなのか、その理由を考えてみましょう。

まず、第一に考えられるのは、現存している住宅の質が低いこと。住宅そのものが足りなくて、質よりもとにかく量を確保しなければならない時期が戦後の日本にはありました。その間に建てられた住宅は、供給を目的としていたために高品質とはいえないかもしれません。しかし、終戦後まもなく60年。そうした家も少なくなり、建築基準法や公庫の基準、品確法なども整備されてきましたので、徐々に住宅の品質はあがってきているとは思うのですが…。

ふたつめは、中古住宅の流通が活発でないこと。日本では、通常築15年経つと、建物についての評価はほとんどゼロになってしまうと言われています。家族構成やライフタイルの変化とともに、今の住まいを売って住み替えようにも、中古住宅は売却が難しいもの。このような背景もあり、古い物件になればなるほど、売買するより、いっそ、取り壊して建て替えようということになるのでしょう。

3つめは、リフォームのしにくさ。暮らしていくうちに、間仕切りを取り外したり壁をつくって間取りを変えたり、増築したくなるものですが、住宅の構造や仕組みがそれに対応できなければ、壊して建て替えることに踏み切る家庭も多いはずです。住宅は耐久性があるだけでなく、将来の間取り変更が可能な構造であり、さらにリフォームしやすいように水まわり配管などにも工夫があることが大切です。逆にいえば、こういった条件をクリアしている住宅なら、家族の変化に合わせて、リフォームしながら、常に快適に暮らしていけるわけです。

◆使い捨ての思想を止め、長寿命の家を考えよう

今、環境について関心が高まり、いろいろな側面からさまざまな試みや活動がなされています。住宅を取り巻く問題も同じだと思います。住宅を使い捨てにするのではなく、環境の面からもスクラップ&ビルドを極力減らし、できるだけ長く快適に暮らせる家を検討する必要があると思うのです。
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