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デザインアイコンで機能性をアピール 「BMW的デザイン」の家って?(2ページ目)

機能がもつイメージをうまくデザインに取り入れている車とそうでない車があります。住宅にも同じことがいえそうです。

大塚 有美

執筆者:大塚 有美

長く暮らせる家づくりガイド

住宅の機能的なカタチとは?

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「白い箱」をイメージさせるフラットルーフの家をハウスメーカーのカタログなどで見かけたことはありませんか

住宅性能をデザインで考えると、「いかにも断熱性のよさそうな家」とか、「気密性がバツグンに高い家」がひとめでわかるデザインは難しいでしょう。それより、限られた敷地を有効に使い、そのなかに必要な部屋スペースを美しく落とし込んでいくという点で、スペース効率の追求が大切ということになると思います。また、建物としての安定感というのも、デザインで表現できることだと思います。そういったことから考えると、最近の住宅デザインにある傾向が思い当たるのです。

それは「四角い家」です。

私が子供のころは、家といえば「三角形の屋根」が定番でした。「四角い建物」は住宅というよりビル。そして、住宅といえば、「三角形の屋根」だったものです。ところが、最近のハウスメーカーが発表する住宅は「四角い家」が多いような気がします。特に、都市型とよばれるものは圧倒的にこのタイプでしょう。

こういった住宅は、白い箱のカタチを基本形として、その形をモチーフにしながら組み合わせて、住宅全体のフォルムをつくっています。では、こういったデザインは、どういうデザイン=機能をイメージさせるのでしょう?


「箱」のイメージは機能的

それは、第一に、いかにもスペース効率がよさそうに見えることです。この「箱のカタチ」は四隅まで効率よく使えるイメージがあります。また、近年「スケルトン&インフィル」という言葉が注目されていますが、箱のイメージは住宅の中の空間もイメージしやすく、箱の中身を自由に入れ替えるように、ライフスタイルの変化に合わせて自由に変えられる中身を連想できます。

第二は、構造的な安定感です。なんといってもシンプルな四角い箱は、強い骨格をイメージさせる安定感のあるフォルムをしています。構造的にもしっかりとした、いかにも耐久性がありそうなカタチです。

第三は、敷地の対応力です。四角い箱を組み合わせてつくるわけですから、それぞれの敷地面積や形状に合わせて、上にも横にも、どんな方位でも対応できるわけです。

つまり、四角い箱を組み合わせてつくる住宅は、スペース効率と可変性に優れ、強い骨格をもち、耐久性と敷地対応力があるように見えるわけです。さらに、この「箱」に、大きな窓などを組み合わせれば、採光のよさもイメージづけることができるわけです。


これからの住宅のデザイン

このように、デザインは、ただデザインされるだけでなく、機能的なよりどころがあってはじめて、よいデザインとしてイメージされるのだということが、おわかりいただけたと思います。

現にあるハウスメーカーのデザイン部門の人が「機能的な形を見つけ出すことにデザインは始まっていて そのことが対応力や展開力を決める」とおっしゃっていたことがあります。また、彼は「こういう雰囲気をもっていれば、中の大きさや対応力が違っていても同じグループという印象が残せるだろうと考えている」とも話されていました。

これは「高性能のアイコンとなる機能的なカタチ」を見つけ出し、それを組み合わせることで「同じグループ」の住宅と認識させるということだそうです。これは、まさにBMWやメルセデスなど、高性能な欧州車と同じデザイン手法でもありますね。

そういえば、ヨーロッパ製のセダンのモデルチェンジサイクルは、6~8年だそうです。国産車はだいたい4年ですから、ヨーロッパ製のセダンのデザインは「長く乗れる」、つまりロングライフデザインだといえそうです。これはやはり、長く使えるデザインは、機能のよりどころがあってこそという証明になるのではないでしょうか。

ハウスメーカーからこういったデザインの住宅が提案されていることを考えると、機能をよりどころとしたデザインの魅力に気づいたのかもしれません。

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