長期優良住宅/長く暮らせる家

長く暮らせる家はゆっくりとつくっていけばいい 家は新築時に未完成でOK?!(2ページ目)

家を建てるときにしておくべきことと、後からでもよいことがあります。クロス、手すり、ホームエレベーターの中で新築時にすべきことはどれでしょうか?

大塚 有美

執筆者:大塚 有美

長く暮らせる家づくりガイド

あらかじめ計画しておけば・・

ホームエレベーターも、後で取り付けることを想定して、1階と2階など、上下に必要なスペースを確保して、周囲に柱や梁など十分な構造を用意しておけば、必要になったときに工事をすることが可能です(手すりの設置に比べれば、かなり大工事ではありますが)。私が以前伺った二世帯住宅では、将来、ホームエレベーターを設置する可能性を考え、1階と2階の同じ位置に納戸をとっていました。いざとなったら、ここにホームエレベーターを設置する予定だそうです。

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間取りやインテリアなど目に見えるものよりも、築年数が経ったときのことを考えて、家づくりをしたほうがいいのでは・・

このようにみてくると、正解は「3つとも新築時でなくても大丈夫」ということになります。もちろん、(1)は見ための問題がありますし、(2)と(3)は、条件付きではありますが。

新築時にしておかなけばいけないこと

本当に新築のときに考えておかなければならないのは、実は間取りでも、インテリアでもないのです。新築時にしておかなければならないことは、ひとことでいうと「後からでは難しいこと」。「後から難しい」というのは、後から工事をすると大掛かりになり、費用も工期もよけいにかかるというもののことです。仕上げの下に隠れて目に見えないものや、構造に関連のあるものと、言い換えることができるでしょう。

例えば、(1)に関連していうならば、どのような色柄の壁紙を張るかより、照明やスイッチ、コンセントの位置や数をしっかり決めておいたほうがいいでしょう。配線が壁の中にされていることを考えれば、後から照明などを移動したり、増設することがかなり大変であることが想像できますね。

配管も同様のことがいえます。もし、将来、二世帯住宅にするなどの計画があるなら、あらかじめ、壁の中に先行配管をしておけば、工事費用も、工期も最小限にすることができます。

(2)に関連していうならば、壁に下地補強をしておくことが大切なのは前ページで書きましたが、十分な廊下の幅を確保することが大切です。狭い廊下に手すりを付けるとものを持って通行するときに不便を感じたり、車イスで通ることができなくなったりします。将来、狭い廊下の幅を広くすることは容易ではありません。ですから、あらかじめ手すりを取り付けることを想定して、廊下の有効幅(有効幅員という)は少なくとも85センチ以上は、確保しておきましょう。

(3)に関連していうと、後付けできるような構造にしておくこと、スペースを確保しておくことは、新築時に計画しておかなければダメです。このように、構造に影響のあることは、後からでは難しいととらえておくとよいでしょう。階段の位置、窓のサイズ、配置なども、構造に関係があることですから、新築時にしっかり考えましょう。

そして何より、新築時に注目しておくべきことは、将来、この家にはどのくらい可変性があるか、メンテナンスはしやすいか、といった築年数が経ったときのことを考えて、家づくりをすること。子供が成長したら個室をつくりたいとか、両親と同居する可能性があるといった想定の範囲内はもちろんのこと、長く暮らす間には、想像していなかったライフスタイルの変化もあるでしょう。そんな場合に備えて、はずせない柱や壁が少ない構造であるとか、耐久性に優れているとか、いざとなったら簡単に交換できる仕組みになっているといったことはとても重要です。そして、これらは、家を建てた後から「しまった!」と思っても、そう簡単には取り戻すことができないことなのです。

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