信頼できるところで建てたい木造住宅
一般の2階建て以下の木造住宅やプレハブ住宅については、構造計算書を提出する必要はありません。それではどうやって建物の構造上の強度や耐震性をチェックするのでしょう。
2階建て以下の木造住宅の場合は、建築士が設計した建物は、審査を除外するとされています。建築基準法施行規則第一条の三の18項には「申請に係る建築物の工事計画が建築士の作成した設計図書によるものである場合においては(中略)構造計算の計算書並びに同表の(三)項に掲げる図書の全部又は一部を添えることを要しない旨を規定することができる。 」とあります。ということは、設計した建築士に全てゆだねられているということになります。これはちょっと不安です。
信頼のできる住宅メーカーや施工会社を選ぶことがとても大切なのです |
この不安を解消するには、徹底して信用のできる建築士、建築会社に頼むしかないと思います。不正をしないというのはもちろんですが、設計の段階から十分に話し合い、じっくり相談できる建築士や建築会社を選ばなければならないということです。大勢の人が関わる家づくり 信じることが、いい家への第一歩で説明しましたが、ここでもやはり「信頼」が大事ということになるでしょう。
大臣認定を受けているプレハブ住宅
プレハブ住宅の場合は、国土交通大臣から安全上の認定を受けることで建設が許可されています。なので、木造軸組工法などの一般工法の場合と違って、個々の建物ごとに義務づけられている設計の段階で構造計算や安全上のチェックが省略できます。
ひと口にプレハブ住宅といっても、木質パネルや軽量鉄骨パネル、軽量鉄骨ユニット、重量鉄骨を使用した工法、鉄筋コンクリートパネルを使用した工法など、さまざまな工法がありますが、それらに共通しているのは、部材の一部もしくは大部分が工場でつくられ、一定の品質管理がなされていることにあります。つまり一定のクオリティが保たれる工業化住宅なので、個々の構造計算は省略し、国土交通大臣からの認定となっているわけなのです。自動車の型式認定みたいなものと思っていたたければいいのではないでしょうか。
ただ、プレハブ住宅なら安心かというと、やはり、施工の精度がポイントになると思います。せっかく素晴らしい工法を使ったプレハブ住宅でも、施工がしっかりしていなければ、設計時の性能は発揮できません。ここでも、「信頼」できるメーカー・施工業者であることが大事なのです。
不安な方は無料耐震診断を
それでは、すでに建設されている住宅は安全なのでしょうか。これは過去の記事耐震性の高い家を考える(2) 8割の家が地震で倒壊の危険?でも触れましたが、日本木造住宅耐震補強事業者協同組合(木耐協)の耐震診断によると、74%以上が倒壊または大破壊の危険がある家屋という結果が出ています。さらに、昭和56年(1981年)に大幅に改正された建築基準法による、いわゆる新耐震基準以前に建てられた建物は、もっと危険性が高まるのだそうです。
また、比較的新しい住宅でも、襖や戸の建て付けが悪くなったり、逆にすき間が空いてきたり、壁にクラックが入るなどの症状が出た場合は、構造強度を疑ってみたほうがよいかもしれません。
不安な方は、一度耐震診断を受けることをおすすめします。木耐協の耐震診断は無料ですし、自治体でも無料診断を行っているところがあるようです。ただ、耐震診断や耐震補強工事を進める業者には悪質な会社もあるようです。今回の「マンション構造計算書偽装問題」で「耐震強度チェック詐欺」も発生しているようですから、くれぐれもご注意を! 不安をあおったり、補強工事を強要したり、先に法外な金額を要求する会社は要注意です。