住宅のデザインや設備にも流行がある
住宅にも、内外装のテイスト、色や素材、設備などに、流行と呼べるものがあります。デザインや設備の人気は、最新のものを中心に、数年から十数年単位で移り変わり、流行を取り入れた家は建築されたおおよその時期が予想できるものもあるくらいです。特に、この傾向があるのが外観ではないでしょうか。
流行の多くは一時的な人気で、時間が経つと忘れ去られたり別のものに変わったりします。その後、周囲に違ったデザインの家が増えてくると、なんとなく古さを感じるようになるのです。たくさんの費用をかけて建築した家なのに、これではやりきれませんね。では、どうしたら、30年後、40年後でも、カッコよさを維持できるのか、ずっとカッコイイと感じる家とはどんな家なのか、考えてみましょう。
定番で統一されたバランスのよい外観は賞味期限が長い
古くなってもカッコイイと感じる家の外観には、次の条件が必要です。
定番のデザインでイメージが統一された外観の家は、築年数が経っても多くの人に愛されると思います
第一に、奇抜なデザインではないこと。
もちろん、外観デザインの好みは人それぞれですから、自分の好きなものを取り入れたいという人もいるでしょう。とはいえ、多くの人に長く愛されるには、普遍的なデザインでなければなりません。奇抜なものや目立つデザインではないのです。また、好みというものは時代や年齢によって変化していくもの。若いときには個性的なものが好きだったとしても、年齢を重ねたり、時代が移り変わると違ったものがよいと思えることもあります。長い目で見たら、外観は定番のデザインのほうがいつの時代も多くの人から支持を受けられるように思います。
第二に、全体のイメージが統一されていること。
さまざまなデザイン要素を混在させて全体をうまく調和させるのは、難しいものです。和風の家とか、シンプルモダンといったデザインの方向性は自分の好みだとしても、たくさんの要素を盛り込むより、シンプルな外観に少ない装飾でアクセントをつけるほうが、統一感が生まれる気がします。そして、統一されていれば、築年数には関係く、古くなっても美しいと評価されるのではないでしょうか。
第三としては、全体のバランスが考えられていること。
外観を眺めたとき、開口部やバルコニーの配置、屋根形状、配色など、建物全体のバランスがとれていることが必要です。わかりやすい例としては、シンメトリーが挙げられるでしょう。必ずしもシンメトリーにしたほうがいいということではありませんが、間取りを考えるときは、外観がどうなるのか、立面図もイメージしながら、プランを決める必要があります。色はもちろんですが、窓のサイズを統一したり、配置を整えるなど、ちょっとした配慮で、外観を美しくすることはできると思います。
古い建築物を見て、建物は古くても、美しいとか、カッコイイと思えたら、これらの要件が備わっているのだと考えられます。新築した当初だけでなく、30年後、40年後の自分が愛せるように、外観のデザインを決めていくことが必要なのです。
私が考えるカッコイイと思える家には外観デザインのほかに、もうひとつ重要な条件があります。
次のページでは、もうひとつの条件について説明していきましょう。