長期優良住宅/長く暮らせる家

一生住める家の条件とは?

一生住める家とはどんな家なのでしょうか。ガイドが考えるどうしてもはずせない条件は5つあります。ひとつずつ説明していきましょう。

大塚 有美

執筆者:大塚 有美

長く暮らせる家づくりガイド

あなたの理想の家はマンションですか? それとも一戸建て? 団塊世代が定年退職を迎えたことで、住宅分野でもアンケート調査に基づいた団塊世代向けの住宅が発売されています。その住宅の内容や特徴はさまざまですが、高齢になったとき暮らしやすい家とはどんな家なのか、考えるきっかけになりますね。では、どんな家なら、ずっと気持ちよく暮らしていけるのでしょうか? 今回は一生住める家の条件について考えてみます。

条件その1 耐久性は約50年

一生住める家はあるのか? この質問に答えるのは非常に難しいですね。「10年後、20年後、わが家はどうなる?」でも触れたように、家族構成や生活スタイルは10年程度のサイクルで変化していきますから、ずっと変わらない家では生活しにくくなってしまいます。ですが、これらの項目を満たすなら、という条件はあげられます。ここではそれをあげながら、一緒住める家を考えていきましょう。

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厚生労働省が毎年発表している人口動態統計によると、日本人の平均寿命は、男性が79.00歳、女性が85.81歳(平成18年)

ひとつ目の条件は、耐久性です。マンションにしても、一戸建てにしても住宅を購入するときに、多くの人が20~35年の住宅ローンを組みます。ということは、どんなに少なくとも、そのローンを完済するまでは、住宅の耐久性が必要ですね。でも、ローンの完済と家の耐久性がほぼ同じ期間だと、私たちは常にローンに追われることになります。これでは生活は豊かになりませんね。一生住める家というなら、その家で寿命をまっとうできるくらいの耐久性がほしいもの。平成20年に厚生労働省が発表した平均寿命は、男性が79.29歳、女性が86.05歳ですから、35歳で家を建てたとして、約50年の耐久性はほしいところです。

条件その2 耐震性は等級2以上

ふたつめの条件は耐震性。これは、住宅性能表示制度を基準に考えましょう。住宅性能表示制度とは、「品確法(住宅の品質確保の促進等に関する法律)」に基づき、共通の基準によって住宅の性能を評価する制度のことです。この表示制度では、耐震性について等級1~3までの基準が設けられ、数字が大きいほど性能が高いことを表しています。

このうち一番下のレベルの等級1では、極めて稀に(数百年に一度程度)発生する地震による力に対して倒壊、崩壊しない程度の性能があり、稀に(数十年に一度程度)発生する地震による力に対しても損傷を生じない程度の性能があることとなっています。

もう少しわかりやすく説明しましょう。
数十年に一度起こる地震は震度5強に、
数百年に一度起こる地震は震度6強~7に 相当すると考えてください。

震度5強の地震なら、築後20年、30年のうちに発生するかもしれません。でも、震度6強~7の地震なら、一生のうちで遭遇するかどうかは、わかりません。

震度5強の地震が起きても、大きな損傷は受けずに耐え、もしかしたら遭遇するかもしれない震度6強~7の大きな地震の場合は、損傷は受けても人命は守られる強さをもっているというのが等級1のレベルです。震度6強~7の大地震が発生したとき、家が倒壊して命を落とすことはないものの、家はダメージを受け、そのまま住み続けられるかどうかはわからない可能性があります。

この等級1は、建築基準法が定める程度の強さに相当しますから、これから新築する家なら、必ずクリアしなければならない耐震性だと考えてよいでしょう。よって、私は、ずっと住む家ならもうひとつ上の等級2以上の強さが望ましいと思います。

等級2は、震度6強~7の地震に耐え、人命を守るだけでなく、著しい損傷を受けず、補修程度でその家に住み続けられる強さをもっていることになります。やはり、一生住める家なら、このくらいの耐震性は必要でしょう。

ここまで一生住める家として、当然求められる性能について説明してきました。次のページでは、間取りや暮らし方についての条件をみていきましょう。

【参考記事】
知っている? 家の「性能表示」

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