住宅工法/耐震住宅・住宅工法

今すぐ自分でできる地震対策

中国の四川大地震や宮城内陸地震など、大きな地震が続いています。家の耐震性が高くても、家具の転倒や割れたガラスによってケガをする人が意外に多いもの。これらの被害を減らせる地震対策を考えてみましょう。

大塚 有美

執筆者:大塚 有美

長く暮らせる家づくりガイド

日本は地震の多い国なので、震度2や3の地震なら大抵の人は経験したことがあるでしょう。それでも、地震は怖いもの。最近でも、中国の四川大地震や、宮城内陸地震による大きな被害は記憶に新しいところです。家を建てるなら、耐震性に優れた家を建てたいのは当然ですが、今回は家具の転倒やガラスによるケガなどを防ぐために、すぐにできる地震対策を考えてみましょう。

新耐震基準は命を守る家

現在、日本で家を建てる場合は、建築基準法によって定められた新耐震基準を守らなければなりません。新耐震基準をクリアした家なら、大地震(震度6強から7程度)が発生しても「倒壊・崩壊しない程度」の耐震性を備えているといえます。「倒壊・崩壊しない程度」とは、命を守れる程度。地震によって、人命が損なわれるようなことはないでしょう。

ただ、家具が倒れたり、ガラスや食器が割れてケガをする人が多いのも、地震にはつきものです。せっかく地震から命は守れてもケガの危険性が高ければ安全性の高い家とはいえません。しかし、比較的簡単な対策によって防ぐことができますので、具体的にどんなことをすればいいのか、見ていきましょう。

家具の転倒を防止する法

家を建てるときに、家具はできるだけ造り付けにして、食器棚や本棚、タンスなどのいわゆる置き家具を極力少なくするのが最良の方法です。とはいえ、今すぐ家を建てたり、家具を造り付けにすることができるわけではないので、現実的な方法で最も簡単なのは、市販の転倒防止器具を利用することです。一口に転倒防止器具といっても、いろいろな形状のものがあるのですが、いずれも、適切な方法で利用しなければ意味はありません。家具や壁・天井などにキズを付けたり、釘を使ったりしないものも多いので、賃貸住宅に住んでいる人でも、取り入れることができます。価格は、1,000~5,000円程度のものが多いようです。

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造り付け収納のなら、地震で倒壊する心配もありません
例えば、天井と家具の間に器具をはさんで、突っ張るように固定するものや、壁と家具を金具などで固定するタイプの転倒防止器具は、1箇所だけに取り付けるのではなく、バランスよく2箇所に取り付けます。また、取り付ける位置も背面の壁や、家具の端に近い位置に取り付け、家具の揺れが大きくならないようにします。

家具の下部の手前にはさむ転倒防止シートタイプの場合は、家具の重心を後ろに維持できるので、大きな揺れの際にもはずれにくく、中の本や食器も飛び出しにくいようです。

ものの収納の仕方で倒れにくくする

収納の仕方ひとつで、さらに家具を倒れにくくすることもできます。それは、家具の重心をできるだけ、低い位置にすること。つまり、重いものを下のほうに、上の方には比較的軽いものを収納するようにします。重いものが下にあれば家具の重心も下にあるので、揺れた場合に倒れにくくなります。

次のページでは、ガラスの飛散防止や避難路の確保について考えてみましょう。
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