住宅工法/耐震住宅・住宅工法

震度6に耐えられる家なら安心できる?(2ページ目)

8月11日に発生した静岡県の地震の最大震度は6弱でした。幸いなことに住宅の倒壊は少なく、倒壊が直接の原因で亡くなった人はいないようです。では、震度6に耐えられる家ならば、安心なのでしょうか。

大塚 有美

執筆者:大塚 有美

長く暮らせる家づくりガイド


家は倒壊しなくても家具に注意

前ページで説明したように、建築基準法を守って建てられた家ならば、恐らく命は守れるはずです。しかし、阪神淡路大震災などでは、タンスなどの家具が倒れてきたことが原因で亡くなったり、ケガした人がかなり多くいたと報告されています。

つまり、せっかく耐震性の高い家を建てても、家具の選び方、置き方によって危険な家になるということです。今すぐ自分でできる地震対策でも説明したように、造り付けの家具が理想的ではありますが、それ以外の家具やテレビなどに転倒防止器具を使って倒れたり、大きく移動しないようにしておくと安心です。

長く暮らせる家として必要な耐震性

さて、この記事のタイトルになっている「震度6に耐えられる家なら安心できるか」ということですが、この答えはイエスでもあり、ノーでもあると思います。

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木造の場合は筋交いの入る体力壁をバランスよく配置することが大切です
なぜなら、損傷のレベルがちょっと心配だからです。恐らく人命は守れますが、地震後の生活を考えると、修復にかかる費用負担がどのくらいになるのか気になります。また、大きな地震の後には、余震がきます。最初の大きな揺れには耐えたとしても、その後、度重なる余震の揺れを受けても大丈夫なのか、不安を感じます。そう考えると「安心」とは言い切れないわけです。

2009年6月に施行された「長期優良住宅普及法」が定める「長期優良住宅」に認められるには、建築基準法の耐震基準より高い耐震性能を備えていなければなりません。高い耐震性能とは、住宅性能表示制度で構造の安定に関する項目で、等級2(建築基準法の1.25倍レベル)以上です。

【参考記事】施行直前、長期優良住宅法が目指すものは?

長く暮らせる家という視点で考えるなら、大地震に遭遇しても家族を守り、なおかつ損傷も軽微で、その後も住み続けられるだけの性能を持っていることが必要です。家づくりをするときに、耐震性を含めた家の基本性能をどの程度にするのか、家族で話し合い、住宅メーカーや工法・構造、間取りを考えてほしいと思います。
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