土地活用のノウハウ/入居者ニーズとマーケティング

土地活用の成功には市場調査が大事!

土地活用を成功させるためには、市場調査が重要です。自分の土地がどういう利用価値があるのかをしっかり把握するためにも、事前に詳しく調べるようにしましょう。

谷崎 憲一

執筆者:谷崎 憲一

土地活用ガイド

土地活用の一つの手法として賃貸住宅を建設したいと考えた場合に、いろいろな法律の規制をクリアする必要性がありますが、次の段階では、土地活用を成功に導くために、あなたの土地にはどういうニーズがあるのか、土地活用に必要な市場調査をする必要があります。

自分の土地の洗い出しをしよう

有効な土地活用をする上では市場調査は重要である。

有効な土地活用をする上では市場調査は重要である。

まず、土地活用で最も重要なポイントは、その土地の立地条件です。いろいろとニーズが高い土地は、利用価値が高いということで資産価値も高くなります。借りたい人や、土地を利用したい人が多いわけですから、生み出される収益も大きいものと期待されます。

まずは、あなたが所有する土地の洗い出しを行います。立地条件の判断として重要なのは、「土地の広さ(地積)」、「道路との関係(道路付け)」、「土地の傾斜(平坦地、傾斜地)」、「用途地域」なので、それぞれの条件を確認します。

地積は狭いよりも広い方が利用価値がありますが、それは道路付けとも密接に関わってきます。どんなに広い土地であっても間口が狭い土地で、車両の進入が困難な土地では利用価値は減少してしまいます。

建物を建てる上で遵守しなければならない建築基準法では、対象となる敷地が幅員4m以上の道路に2m以上接していなければならないと定めています。これを接道義務と言いますが、このように土地と道路付けは切っても切れない関係にあります。

また、土地が平坦地か傾斜地かによっても利用価値は変わってきます。傾斜地の場合は、土地の斜度によっては有効利用できない部分が出てきますので、一般的には平坦地の方が利用価値は高いと言えます。

用途地域については、「土地にはそれぞれ用途があるって知ってる?」を参照してください。


最寄り駅までの距離も重要

最寄り駅から所有する土地までの距離もマーケティング上は重要である。

最寄り駅から所有する土地までの距離もマーケティング上は重要である。

また、最寄り駅までの距離・所要時間も、立地条件としては重要です。一般的な不動産の物件選択基準では、最寄り駅から10分以内と10分超で大きく差が出てきます(不動産表示では、道路距離80mにつき1分を要すると算出しています)。徒歩圏で物件を探されている方の多くは、10分以内で探しているのです(移動手段が、電車ではなく自動車が主流となっている地域では、この差はあまり出ません)。

また、最寄り駅での乗降客数も重要です。特急や急行の停車駅が最寄り駅であれば、一日の乗降客数が多く、そこに勤めたり住んだりしている人が多い、つまりニーズの高い土地であると言えます(一日の乗降客数が多い駅なので、特急や急行が停まる駅になるというのが正しいかもしれません)。


ニーズ把握の為の市場調査の方法

市場調査というと難しいことのように思われるかもしれませんが、地域ごとの賃料相場、人口動態、世帯数、人口構成比からニーズを割り出すことができます。

地域ごとの賃料相場については、不動産業者であればレインズREINS(国土交通大臣から指定を受けた不動産流通機構が運営しているコンピュータ・ネットワーク)で調べられますが、一般には公開されていません。しかし、一般の方向けにも様々なサイトで情報が公開されています。「賃料相場」で検索するだけで情報サイトが出てきますので、一度ご覧になられるとよいでしょう。アットホームや、ホームアドパーク、ホームズなどのポータルサイトでも賃料相場情報を出しています。

人口動態や世帯数、人口構成比についてですが、これも最寄りの市区町村役場で調べることができます。全国的には、少子高齢化の進行と人口の減少と言われていますが、土地活用を検討している地域で、まず第一に人口や世帯数が増えているのか、減っているのかを調査します。

例えば、東京都における平成27年と28年の人口総数は下表の通りです。

(東京都総務局統計部の資料より)

(東京都総務局統計部の資料より)


次に、世帯構成の変化を調べます。単身世帯、ファミリー世帯、ディンクスDINKS(子どものいない共働き世帯)ごとの増加・減少が分かります。さらに、年代別の人口推移を調べます。20~29歳代の若年世代、30~39歳代、40~49歳代のディンクス・ファミリー世帯、60歳代、70歳代の高齢者世代はどうなっているのか、その地域特性を分析する必要があります。

このようにして市場調査を行い、あなたの地域での土地活用のニーズ把握をしていきます。


ライバル賃貸経営者の状況を把握せよ!

周辺の物件に空室が多くても立地が要因とは限らず、老朽化や管理状態の悪化により空室が発生していることもある。

周辺の物件に空室が多くても立地が要因とは限らず、老朽化や管理状態の悪化により空室が発生していることもある。

さて、このような市場調査の手法で、所有する土地の特徴についてある程度ご理解いただけたと思います。そこで、今一度確認してほしいのは、ライバル賃貸経営者の動向です。

ライバル賃貸経営者といっても、そんなライバルはいないと思われるかもしれませんが、あなたが土地活用としてアパート経営を考えているとすれば、あなたの土地周辺でアパート経営をされている人やその物件がライバルとなるわけです。駐車場しかり、他の事業用途であっても、同様の事業をしている人やその商売がライバルとなり得るわけです。

もしも周辺でおこなわれている事業で成功している人が多いとしたら、あなたにも成功する可能性は高いと言えます。一方、空室が多いと嘆く人や、賃借人探しに困る人が多いようであれば、ニーズが多くない可能性があります。

もちろん、空室が発生する原因には、立地以外にも個々の要因がありますので、一概には言えませんし、競合が増えると困ると思っている大家さんの中には、ライバルが出現しないように、景気が悪いふりをしている人もいるかもしれません。

以上のように、土地活用にあたって市場調査の重要性がお分かりいただけたと思います。このような視点から、あなたの土地について立地条件、市場特性、ライバル等を見直されてはいかがでしょうか。

※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

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