キッチン/キッチン選びの基礎知識

温故知新!古い生活の良いところを見直す。 古民家の台所を現代に生かす!(2ページ目)

古民家の竃や流しは、日本人の叡智と奥深い精神性とに裏づけられています。キッチン空間再考のきっかけは、こんなところにもあるのでは

執筆者:黒田 秀雄

井岡家住宅 奈良県奈良市下高畑町(17世紀末~18世紀初頭)

奈良市街の柳生街道に沿って商売をしていた油屋の町家。
正面に丸太格子の採光窓をとり、たたむことができる揚げ見世(あげみせ)と呼ばれる店構えとなっている。

4間間口の半分を土間に、半分は板の間。
 
催事や、大がかりな調理に使われた大竃には、今もしめ縄飾りが祭られている。
 
日常の調理に使われた三連の竃。
 

三澤家住宅 長野県伊那市西町(19世紀中期)
中山道を塩尻で別れる伊那街道の宿駅・伊那部宿にあった薬屋。敷地の奥まで土間でつながるという町家の特徴と、たたきの竃の後ろにはウマヤがあり、囲炉裏の掘られたオオエと呼ばれる居間を中心に各室が構成される農家の間取りとが混在した平面計画となっている。 七間半の間口いっぱいに建物を建て、丁度中央部分に竃が設けられている。
 
漆喰で仕上げられた真っ白な竃の造形は、どこかで見た形?
 
一間間口の水屋は、今で言う食器棚兼パントリーユニット。
 
オオエと呼ばれる居間には囲炉裏が掘られ、家族のコミュニケーションの場として住まいの中心であった。
 
  鴨居の上には二間間口いっぱいに神棚が祭られている。

   
如何でしたか?
かっての日本のすまいの中で、台所の存在が如何に重要であったかを、伺い知ることができたかと思います。
キッチンのオープン化も、かっての台所では当たり前のことだったのです。
神棚やしめ縄を祭る精神的なよりどころとともに、造形的にも私たちが今一度立ち返るべきものを、語りかけてくれるようです。
   
←前ページでは、日本民家園の案内と鈴木家住宅を紹介しています。
   
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