焼物のふるさと探訪シリーズ Vol.4
唐津焼を訪ねて
唐津駅北口前にある「ふるさと会館・アルピノ」の2階には、
唐津焼の総合展示場があり、唐津市内と周辺で30軒ほどある窯元のうちの
今回は16の窯元が展示販売されている。
総合展示場には、唐津焼の歴史から焼き物のでき上がりまでの工程等が細かく説明されている。
有田焼や伊万里焼は、ほとんどの工程が分業化されているのが特徴で、何人ものロクロ師や絵師などの職人の技を経て完成するが、唐津焼はほとんどの工房の個人技で作品にまで仕上げられる。陶器の良さでもある使い込むほどに味が出て熟成され、使う人の手を経て作品が少しづつ完成するというのが特徴でもある。
唐津焼には代表的な「朝鮮唐津」、「絵唐津」、「粉引唐津」、「三島唐津」、「斑唐津」、の五つ以外にも「彫唐津」、「刷毛目唐津」、「黄唐津」、「青唐津」など様々な様式があります。以下に代表的な唐津焼をご紹介します。写真はすべて唐津焼総合展示場の許可を得て撮影したものです。
「朝鮮唐津」(唐玄窯)
唐津の代表的な焼き物のひとつで黒色や飴色の鉄釉の上から、わら灰で作った白く濁る藁灰釉をかけて自然に流れる模様がひとつひとつ違った味わいの景色(釉薬の変化)を生み出します。
「絵唐津」(幸悦窯)
唐津焼独特の技法で、素地に鬼板と呼ぶ鉄分を含む釉薬を指や筆を使って描きます。素朴な絵柄の草,木,鳥、花を描いたものが多い。
この写真の角皿は、生地に「粉引」をかけてから文様を描いている。
「粉引唐津」は、褐色の粘土で成型し生乾きの段階で白色の陶土を全体にかけて焼成します。表面が白い粉をふいたように見えるため「粉引」と呼ばれています。
「三島唐津」(岸岳窯三帰庵)
李朝三島の伝承技法で、生乾きの素地に線彫・印花紋・雲鶴などの文様をつけて、上から化粧土を塗り拭き取ってから焼成したものです。「斑唐津」(十四代中里太郎右衛門)
長石と藁灰を混ぜた釉薬をかけて焼成すると、粘土の中の鉄分と反応して青,茶、黒等の色がまだら模様になって微妙な味わいが出てきます。次ページでは唐津焼を代表する作家・中里太郎右衛門陶房をご紹介します。
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