目線は口ほどにモノを言う
「キッチンから始める幸せ計画」
オープンキッチンの極意とは!
キッチンルームがここ十数年で随分と様変わりしてきました。
一番大きな要因は家族のコミュニケーションを豊かにする場は、リビングルームと呼ぶ三点セットのソファがおかれテレビが中心になっている空間ではなく、食事を楽しむ場であり、料理を作るキッチンであることがようやく理解されるようになってきたからに他なりません。私が1998年3月発行の共著インテリアコーディネートブック「食べるインテリア」の中で、
キッチン・ダイニング・食器・収納・室礼・食育などを同列にとらえて著わしたのも、このような考えが基本にあったからです。
キッチンのオープン化は今に始まったことではありませんでしたが、従来はパーティ好きなご家庭の強い要望から生まれたプランでした。しかし住宅設計を手がける建築家たちからは、キッチンはクローズドであるべきだと指摘され続けてきました。約35年も昔の1973年、日本にまだシステムキッチンが登場する前に私がデザインした「NISSO ISLAND KITCHEN」のオーダーメイドキッチンはこんな姿でした。キーワードはキッチン空間のオープン化とキッチンと食卓テーブルの一体化でした。
下図の左は昭和50年代の典型的な独立キッチンプランです。右が十数年前から登場したアイランドキッチンプランです。
■独立型キッチンプラン | ■アイランドキッチンプラン | |
この二つのキッチンプランを見比べてみると、調理作業を役割とする主婦と食べるご主人様という関係が前提だったプランから、家族揃って食べることを楽しむだけでなく、調理することの楽しさ、後片付けの共同作業など家族が対等な関係で結びつくように変化してきたことが理解できるでしょう。
アイランドキッチンはこのように女性の本格的な社会進出を機に、政府に男女共同参画局が作られるのと歩調を合わせるようにして認知されるようになってきたわけです。しかし今でもキッチンから出る油煙や臭気、音などが他の部屋に漏れることを嫌い、また今更お父さんにキッチンに入ってほしくないと主張する奥樣方が多いことも事実です。
キッチンの平面計画はインテリア雑誌にも溢れるように描かれているので、今回は視点を変えて、アイランドキッチンのカウンター部分をどのように考えたら良いかについて考えてみたいと思います。
次ページでは、アイランドカウンターの高さと奥行寸法によって目線の高さが変わり、家族のコミュニケーションにも微妙な変化ができることをご紹介します。まさに目線は口ほどにモノを言うのです!
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