国際福祉機器展2007に見る
ユニバーサル デザインのキッチン
国際福祉機器展2007が10月3日~5日までの3日間、東京ビッグサイトで開かれました。世界15カ国・1地域から600社近い企業や団体が最新の福祉機器25,000点を総合展示します。13万人の来場者があるというビッグサイト開催の見本市の中でもトップクラスの集客力のある催しです。
小さな子供から高齢者まで実に幅広い来場者層の中でも、特に介護学校の若い生徒たちが非常に多く目につきました。ユニバーサルデザインに代表される様々なニーズへ向けて真剣に取り組もうとする企業姿勢と、来場者の関心の高さがうかがえる貴重な展示会でもあります。
国際福祉機器展看板
国際福祉機器展会場構成
会場構成は右手前から
1Hall:福祉車両、入浴用品
2Hall:リフト等移動機器、施設用設備・用品、介護予防機器、在宅施設サービス経営情報システム
3Hall:防災用品、移動機器(車椅子)
左手前から
4Hall:建築・住宅設備、日常生活用品(衣類)、日常生活用品(家具)
5Hall:リハビリ機器・義肢・装具、コミュニケーション機器、日常生活用品(食事)
6Hall : ベッド用品、情報(出版物)、おむつ用品、トイレ用品
となっている。
ユニバーサルデザインのキッチンは4ホールに展示されている。
日産自動車の福祉車両。
セキスイの展示ブースには、介護の形に合わせて浴槽位置を左右に可動できるユーザー可変型の「介護自立支援型浴室システム」。
様々な介護の形を想定した浴室システムのデザインは、これからますますその守備範囲を拡大してゆきそうな予感がする。
いよいよ、ユニバーサルデザインにポイントをおいたシステムキッチンの紹介です。今年はINAX、TOTO、松下電工の3社から出展されていた。
INAXの展示ブース。
椅子に座ったまま、洗面化粧の作業ができる洗面化粧台。
車いすに座ったまま洗面化粧の作業ができる洗面化粧台。
ユニバーサルデザインの住宅設備機器への関心度は相当に高い。
サニタリー空間に必要な握り棒のデザインにもカラフルで楽しいものがでてきて、インテリアデザインの重要なアイテムとなりつつある。
INAXのシステムキッチンは、座ったまま作業のできるシンクスペースや電動昇降ウォールキャビネットに関心が集まっていた。
TOTOの展示ブース。
TOTOシステムキッチンの新製品キュイジアAが出展され、座るとロックされるキャスター椅子や足もとがオープンタイプのキャビネット構成が人気を集めていた。
松下グループはPanasonicブランドを前面に打ち出したトータルユニバーサルデザインを強力にアピールしていた。
ナショナルのシステムキッチンFITシリーズも専用椅子に座ったままで調理作業ができることや、電動昇降キャビネットへの関心が高かった。
使いやすい作業領域の研究は松下グループの得意とするところでもある。
高さ領域の研究ばかりでなく、聞き取りやすい音の研究や、認識しやすい文字デザインや表示ボタンの研究など、地道なユニバーサルデザインへの取り組みが非常に好感が持てる。
このように、システムキッチンメーカー3社からユニバーサルデザインの具現化したキッチンが提案されたが、まだまだ取組むべきキッチン空間の課題は多いと思う。少なくともキッチンを生業とするメーカーは、すべてのメーカーがもっともっと活発なユニバーサルデザインの提案に向けて、研究開発をすすめてもらいたいと思います。
(C)Oct. 2007 Copyright HIDEWO KURODA KITCHEN SYSTEM LABO.INC.