ベルリンからアウトバーンをひたすら1時間半ほど走ったところにデッサウはありました。ところで、バウハウスをご存じですか!ファニチャーガイドの石川氏は「デザイン界のビートルズ的存在」 とたとえています。19世紀のはじめ建築はレンガや石材に代わって、鉄やガラス、コンクリートが使われ、家具は機械で量産され機能性が重視されるようになりました。
1919年、ドイツのワイマールに国立の造形学校が創立され、校長の建築家ウォルター・グロピウスは芸術と工業技術の統一をする事により、新しい建築や工芸の創造を目指しました。「バウハウス」と名付けられ、世にデザイナーという新しい職業が生まれることになりました。
政治的にワイマールをおわれ、1925年デッサウに市立の造形大学として、バウハウスのデザイン思想を全面的に表現した新校舎が建てられました。インテリアと共にモダンデザインの軌跡を表すモノとして世界遺産に指定されています。
細いスティール・フレームのガラスに囲まれたモダンデザインの記念碑的建物は、私の目にはデザイン的にはあまり魅力を感じないのが確かな事実で、室内のインテリアも感激するにはほど遠いものでした。グロピウスを最も尊敬しているという美しいガイド嬢が熱く語る、校舎棟の廊下に置かれたロッカーの説明を聞きながら、我が中学と同じとボンヤリ昔を思い出したのが現況でした。でも、80年前の建物を目の前にして、この建物がいかに斬新なデザインで当時の人々に驚きと共感を与えたかを思い、ちょっぴり感激です。
さて、バウハウスの理念は、建築だけでなく家具や日用品にも及び、その物の本質を探究し美しくあるべき機能美を追求しています。その代表として、マルセル・ブロイヤーがデザインしたパイプ椅子ワシリーチェアーがあります。今ではオフィスや家庭でスティールの家具を使うことは当然、でも家具は木や布で造るのが当たり前の時代に、冷たいスティールパイプで椅子を作ることは革命的でした。ここでは階段室につながる廊下になにげなくポツンと置かれていました。