ハウスメーカーやマンションディベロッパーが異業種とコラボレーションする事例が再び増加傾向に。家具ブランドや自動車メーカー、子育て雑誌や玩具メーカー……話題を呼んだ最近の事例を紹介するとともに、コラボ増加の背景と要因を分析してみました。
住宅大受難時代の差別化策から急増?
リーマンショック以降、住宅需要の低迷が顕著になる中で、住宅会社もいろいろな工夫でユーザーへの訴求を試みています。その一つが、異業種の業界や専門家とのコラボレーションによる商品企画や販売促進。以前から住まい分野に近いインテリアメーカーや家具ブランドとのコラボレーションは見受けられたものの、近年、再び増加傾向にあり、そのタッグの組み方も多様化しています。最近、このテーマに関する取材を受けたのを機に、AllAboutでも今年の主なコラボ例をまとめておきたいと思います。
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三菱地所×無印良品の新築分譲マンション「MUJI VILLAGEパークハウス」 |
以前からマンション分野では盛んだったコラボ企画。たとえば、三菱地所は「無印良品(MUJI)で衣食住の商品展開を行っている「良品企画」とタッグを組み、MUJIブランドイメージを反映したライフスタイル提案マンション「MUJI VILLAGEパークハウス 木々 津田沼前原」(千葉県船橋市)を分譲。装飾より暮らし方に重きを置いた商品企画をめざした三菱地所が2年前、すでに暮らし方を具現化をめざし戸建て事業にも乗り出していた無印良品に共同企画を持ちかけ実現したといいます。
また最近では伊藤忠都市開発・東京ガス・TOTOが共同開発した「flex-M」シリーズも話題に。浴室やパウダールームなどの水周りをTOTO技術で完全防水空間にすることで住まいの中心に据え、東京ガスのミストサウナでホットヨガをしたり、お風呂上がりのリラックススペースをこだわるなど、「洗える部屋」をコンセプトにした生活提案がユニーク。伊藤忠都市開発はインテリア雑貨「F.O.B.COOP」とも組んだマンションもリリースしています。
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三井ホーム×カッシーナのリビングインテリア例 |
もちろん一戸建でもその動きは増加。これまでも「積水ハウス×アクタス」「三井ホーム×カッシーナ」といった家具インテリアブランドとのコラボ企画は続いていましたが、ここにきて住宅関連以外業界とのユニークなタッグも登場。たとえば、木下工務店は2006年、若者に人気のインテリア雑貨ブランド「Franc Franc(フランフラン)」との共同出資で住宅会社「東京住宅」を設立したほか、料理研究家・栗原はるみ氏とのコラボレーションで話題になりました。
戸建てコラボの火付け役は何といっても……
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東急ホームズ×「頭のよい子が育つ家」コラボ分譲地例 |
専門家とのコラボでは、ダイワハウスが収納の達人・近藤典子氏を起用してソフトを一気に充実させたのは有名ですし、最近ではカリスマペットブロガーの人気の犬「富士丸×xevo」も展開。東急ホームズでは分譲地「ウェルタウン青葉台」において著書「頭のよい子が育つ家」(日経BP社)で話題を醸したスペース・オブ・ファイブ四十万靖氏と組んで子育て提案をしたほか、三井ホームはバンダイナムコゲームと組んで塗り絵コンテストやガーデニングポットを企画するなど、数えだしたら枚挙にいとまがありません。
こうした一戸建分野の異業種コラボブームに火をつけたのは、何と言っても2008年4月、ダイワハウスがベネッセコーポレーションの子育て雑誌「たまひよ」と組んだ「HAPPY HUGモデル」でしょう。これまでも単発でメディアとタイアップ広告展開したりなどはありましたが、商品開発からWEB会員組織を動員してメディア色を前面に押し出して企画(商品)を作り上げた例は珍しいのではないでしょうか。
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ダイワハウス「xevo」×ベネッセ「たまひよ」のコラボロゴ |
「たまひよ」は、戸建て市場をけん引する20~30代の子育て主婦が多く加入するとみられるWEB会員160万人組織を保有。「HAPPY HUG」開発にあたっては両者が保有する既存データに加え「ウィメンズパーク」でのWEBアンケートを実施。全国のモデルハウスでは来場者を「たまひよ」読者モデルにするなど連動キャンペーンで好評を博し、09年7月には第2弾「HAPPY HUGモデル2」をリリースしています。
では、
なぜ最近こうしたコラボ例がまた増えているのでしょうか?