子育てマンション/子育てマンションの特徴・選び方

子どもを脅かす住まいの3つの危険エリア

バルコニー、台所、浴室は住まいの中で特に子どもの事故が起こりやすい部分です。ご自宅の危険性をチェックして、事故を未然に防ぐための対策をしておきましょう(初出:2006年2月、改訂2014年10月)

井上 恵子

執筆者:井上 恵子

住まいの性能・安全ガイド

子どもの不慮の事故は家の中で起こっている

子どもがハイハイやつかまり立ちをし出したら家の中を点検しましょう

子どもがハイハイやつかまり立ちをし出したら家の中を点検しましょう

平成18年に「子供の事故防止対策検討委員会(東京消防庁)」がまとめた資料によると、0~5歳児の事故は住宅内で発生することが多く、転倒、墜落・転落、異物・誤飲の順に多くなっています。また、水による事故のうち住宅の浴槽での発生が多くなっています。

0~5歳の子どもは好奇心が強く「物をつかむ」「口に入れる」という行動があること、バランス感覚の発達が未熟であること、自宅内で過ごす時間が多いことなどが事故が多い理由と考えらます。年齢が低いため、事故を防止するためには親の見守りや事故防止対策を取っておくことが大切だと言えます。

今回は特に事故が起こりやすいといわれる「バルコニー」「キッチン」「浴室」の3ヶ所について起こりやすい事故、事故防止策を見てまいりましょう。

危険エリアその1:バルコニー

バルコニーから転落しないような構造になっていますか?

バルコニーから転落しないような構造になっていますか?

幼児がバルコニーから転落する事故が後を絶ちません。バルコニーの安全基準はどうなっているのでしょうか。手すりについては建築基準法に下記のような基準があります。

「屋上広場または2階以上の階にあるバルコニーその他これに類するものの周囲には、安全上必要な高さが1.1m以上の手すり壁、さくまたは金網を設けなければならない」(建築基準法施行令第126条)

つまり、2階以上の部分のバルコニーには、高さ1.1m以上の手すりまたはさくをつけなければならないことになっているのです(※1)。
(※1)マンションと3階建て以上の戸建住宅などに適用。2階建て以下の一般的な戸建住宅には適用されません。

しかしここで規定されているのは手すりの「高さ」だけです。もう少し詳しい基準を知りたい時、参考になるのが住宅金融支援機構が定めたバリアフリー基準です。マンションではこの基準を遵守しているケースが多いと言えます。

手すりの高さ:大人は1.1メートル以上、子どもは80センチ以上

手すりの高さが1.1メートル以上あれば大人でも安心感がある

手すりの高さが1.1メートル以上あれば大人でも安心感がある

まず、手すりの高さですが、建築基準法で定められているように、マンションのバルコニーの手すり高さの基準は1.1メートル以上となっています。もし足がかりになるものがあれば、その足がかりから1.1メートル以上必要です。足がかりとは、足を引っ掛けて登れる突起などのことです。

1.1メートルとは大人が立った姿勢の時の重心よりやや高く、大人でも安心感を得られる高さです。子どもの場合はもう少し低く「80センチ」という高さがひとつの落下防止の目安になります。もし足がかりがある場合は、その部分から80センチ以上の高さを必要とします。 
 

手すり子の間隔

【図1】手すり子の間隔

【図1】手すり子の間隔

では次に、手すり子と手すり子の間隔を考えてみましょう。もしこの間隔が広すぎると、小さな子どもが間をすり抜けて落ちてしまう可能性があります。

子どもがすり抜けないための手すり子の間隔は「内法で11センチ以下」が安全の目安とされています。11センチはちょうど子どもの頭が抜けない寸法です。この手すり子の間隔の規定は、足がかりまたは床から80センチ以下の部分、つまり子どもが落下する恐れのある部分が対象になります。

それでは次にキッチンの安全性について見てみましょう。
 
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