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家の耐火性、高い低いはここで決まる!

2007年に発覚した大手建材メーカーによる耐火偽装で性能の劣る耐火材が多く出回るという前代未聞の事件が発覚。耐火材は家のどんな部分に使われ、なぜ必要なのでしょうか? 今回は「住まいの耐火性」について基礎知識をまとめます。

井上 恵子

執筆者:井上 恵子

住まいの性能・安全ガイド

家の耐火性

隣り合う家が近い場合は延焼を受けやすくなるので所定の場所には耐火性の高い部材を使う

隣り合う家が近い場合は延焼を受けやすくなるので所定の場所には耐火性の高い部材を使う

2007年に大手建材メーカーなどによる耐火偽装が発覚し、大きな問題になりました。実際の耐火性能よりも高い結果が出るように、家の軒裏(のきうら)などに使われる耐火材の大臣認定試験を受ける時に、偽装をしていたというものです。

偽装された耐火材が使用されたのは全国の住宅など約10万棟、そのうち耐火性能基準を満たしていないものは少なくとも約4万棟あるとのこと。大臣認定そのものの信用性を揺るがす前代未聞の事件でした。

マンションのように都市部に建ち、大規模で、燃えにくい鉄筋コンクリートでできたものと、郊外の戸建て住宅では求められる耐火性も異なります。今回は主に、戸建て住宅の耐火性について見ていきます。

■基礎知識1:家の耐火性はこうして決められる
■基礎知識2:この部分が要注意!―延焼の恐れのある部分とは?
■基礎知識3:木造戸建て住宅の耐火性能
■基礎知識4:住宅性能表示でわかる家の耐火性

基礎知識1
家の耐火性はこうして決められる

家をはじめ全ての建物の耐火性は、法律によって決められています。その建物が建つ地域や建物の規模、用途によって、必要とされる耐火性能は異なります。人がたくさん集まる地域では求められる耐火性は厳しくなり、隣の家との距離が離れているような地域では緩くなります。火災が発生した時の近隣へ与える影響、近隣から受ける延焼の被害などが変わってくるためです。

都市計画法では市街地の火災の延焼を防ぐ目的で防火地域制限を定めており、都市の中心部から順に、防火地域準防火地域法22条区域の3つの地域に分かれています。自治体の建築課などに出向けばご自宅がどの地域にあるか調べることができます。

耐火性を決める3つの地域

主要な幹線道路沿いで、商業・官公庁などの重要な施設が集まっている地域が一番規制の厳しい防火地域、防火地域よりも建物の密集が少なく規制がやや緩くなる準防火地域、準防火地域の周辺に指定され、屋根や外壁の防火上の規制を受けるのが法22条区域です(図1参照)。

【図1】防火地域の概念図。 幹線道路や駅の周りは防火地域、その周りに準防火地域、準防火地域の周辺が法22条区域となっている

【図1】防火地域の概念図。 幹線道路や駅の周りは防火地域、その周りに準防火地域、準防火地域の周辺が法22条区域となっている

 

※ちなみに耐火性とは建物そのものの燃えにくさを示し、防火性とは周辺からいかにもらい火を防ぐかを示します。

防火地域
では、最も厳しい耐火規制がかけられています。
・階数が3以上または100m2を超える建築物は耐火建築物
・その他の建築物でも耐火建築物か準耐火建築物
・原則的に木造の建築物は建てられない。

準防火地域では少し規制が緩くなります。
・地上階数が4以上、または延べ床面積が1500m2以上の建築物は耐火建築物
・地上階数が3以上で、延べ床面積が500m2以上1500m2以下の建築物は耐火建築物または準耐火建築物
・一定の防火上必要な技術基準に合えば木造の3階建ても可能
・木造の建物で階数2以下は防火制限はなし。ただし外壁や軒裏の延焼の恐れのある部分は防火構造とすることと定められています。

木造の一戸建てが建てられる地域は決まっている

鉄筋コンクリート造のマンションは基本的に耐火建築物になるので、どの地域でも建設可能です。一方木造の一戸建ては基本的に準防火地域、法22条区域(※1)または防火地域制限のない区域に建てられます。

※1 「法22条区域」とは……屋根の不燃化を定められた地域。都市計画法ではなく建築基準法の22条で定められているためこう呼ばれています。

このように、建物の耐火性は、建物の建つ地域や規模などにより決められています。家を建てるときはこれらの条件を調べてから、この基準をクリアする耐火性のあるものにしなければいけません。

それでは次の基礎知識、この部分には要注意!延焼の恐れがある部分とは?を見てみましょう。

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