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家の耐火性、高い低いはここで決まる!(4ページ目)

2007年に発覚した大手建材メーカーによる耐火偽装で性能の劣る耐火材が多く出回るという前代未聞の事件が発覚。耐火材は家のどんな部分に使われ、なぜ必要なのでしょうか? 今回は「住まいの耐火性」について基礎知識をまとめます。

井上 恵子

執筆者:井上 恵子

住まいの性能・安全ガイド

基礎知識4
住宅性能表示制度でわかる家の耐火性

延焼を受けやすい位置にある窓には耐火性のある網入りガラスが使われています

延焼を受けやすい位置にある窓には耐火性のある網入りガラスが使われています

2000年に制定された「住宅の品質確保の促進等に関する法律(以下「品確法」)」の3本柱のひとつ住宅性能表示制度では、「延焼のしにくさ」を等級で表しています。この等級をみると、建築基準法同等程度なのか、それより燃えにくい構造のものなのかわかります。

家の耐火性能は「火災時の安全に関すること」という項目で表示され、以下の3つの項目でそれぞれの耐火性能がどのくらいあるのかを示します。
1) 延焼の恐れのある部分(→2ページ目で解説)にある開口部の耐火性能
2) 延焼の恐れのある部分にある開口部以外(外壁、軒裏など)の耐火性能
3) マンションなどの界壁・界床などの耐火性能

1) 開口部の耐火性能

延焼の恐れがある部分の「ドア」や「窓」などがどのくらい火災に耐えられるか表示します。

60分以上火炎を遮るもの(等級3)、20分以上火災を遮るもの(等級2)、その他のもの(等級1)と表示されます。図3で、耐火性のある開口部(ドア、窓)の仕様の例を示します。

【図3】耐火性のある開口部(ドア、窓)の仕様例。材質や厚み、大臣認定の有無など条件が決まっている。

【図3】耐火性のある開口部(ドア、窓)の仕様例。材質や厚み、大臣認定の有無など条件が決まっている。

 

2)外壁・軒裏の耐火性能

延焼を受ける恐れのある部分の「外壁」「軒裏」の耐火性能を表します。外壁や軒裏の耐火性能は、20分以上(等級2)、45分以上(等級3)、60分以上(等級4)の等級1~4に分かれます。

今回の耐火偽装では、住宅メーカーがこの外壁や軒裏の部分に建築基準法で決められた性能より高い、45分(等級3)・60分(等級4)という遮炎性能を持たせ、住宅の付加価値として販売していました。住宅性能表示制度を導入し、より高い品質を提案していたものを、偽装により、くじかれた格好となってしまいました。

この住宅メーカーは、当初の約束通りの耐火性能があるものに全件改修すると発表しています。このような姿勢には救われる思いがします。

3)マンションの界床・界壁の耐火性能

マンションは一般的に耐火構造になるので、隣住戸や上下住戸との境にはコンクリートなど60分以上の遮炎性能があるものが使われます。最高の「等級4」となります。

逃げる時間を稼ぐ、そして延焼しにくくする

家の耐火性が高く、熱に耐える時間が長いほど、火災時に逃げる時間が稼げたり、延焼を受けたり与えたりする被害が少なく済みます。家の耐火性は、いわば命に係わる住まいの大切な性能です。

建築基準法で定められた性能を守ることは当然のこと、さらによい品質を確保し、より安全に暮らしたいという建て主の願いや企業努力に対し、2007年に発生した一連の耐火偽装はあまりにも大きな裏切り行為でした。今後二度と、このような不正が起きないことを願います。

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