近年は型通りの家を買うのではなく、自分の感性やこだわりを持って家づくりをする人が増えています。特に団塊世代Jr.に顕著です。これまで挙げた3派はあくまでも大きな視点で捉えたもので、より細かく見ていくとおもしろい特徴で分類できることでしょう。私がこの3派に分類したのは、家づくりがまだ個人の趣味の域を出ていないということがあります。家は個人の所有ではありますが、社会の中にあるものです。自分のこだわりと合わせて社会(地域社会)を豊かにすることまでぜひ考えてもらいたいと思います。
地域力のある建築-地域に住むということ
家は地域社会の中にあり、私達は家に住むと同時に地域に住んでいます。ここで地域に住むということを考えてみましょう!
地域社会には、地域固有の気候、地形、動植物といった自然の基盤があります。さらに人がそこに住み、つくりあげた伝統や風土、歴史といった社会的な基盤もあります。近年は森は荒れ、商店街は活気を失い、地域共同体の助け合いや絆は弱体化している傾向にあります。しかし高齢少子化、後継者問題など様々な社会システムの変化にあるからこそ、地域の環をつくり協力し合うことが必要だといえます。
・・・ひとつの目的にむかって協働作業をする。 生き方も価値観も違う人と出会うかも知らない。そこで今までこの町には何もないと思っていたが、人と出会うことでたくさんあることに気づかされる。それから街のあるもの探しに変わっていく。この変わっていく意識や視点をつくっていくことが大切である。 | 小学校の工事にあたり生徒が現場を見学する様子 |
・・・地域の活動や行事に関わる。 ものを大切にする心が生まれるのは、そのものに自分が関わるからだ。関わることでそのもののできるまでの背景を知ることができる。背景は見えないけれど自分の心の中にはずっと記憶されていく。記憶されていく力を育てるのは地域であり、人である。 |
リフォーム、環境問題への取り組みという点でも地域で考えることが多くなってくるでしょう。手始めに自分は何派なのか自問自答してみてください。そして、自分のこだわりに地域で何ができるかヒントが隠されているのではないでしょうか。
参考リンク
マニアック派
■施主と建築家がこだわった階段のあり方 遊び心のある住まい
■施主年齢80歳!生き方を表現した建物
スローライフ・ノスタルジー派
■15坪の家を豊かにする床の間スペース
■故郷の思い出を杉柱で再現した家
エコ・環境派
■多摩川の流れをなぞった建物
■屋根の上にクマザサ、ラベンダー? 住まいの屋根の緑化のはなし