単にノスタルジーをということではなく、今の私たちが見失った、ゆっくりとした時間やくつろげる空間を持っていた昭和の時代。がむしゃらより、ゆっくりとした暮らしを優先する「スローライフ」の時代だったんですね。

子供の頃に夢中になった「砦(とりで)」遊びを憶えていますか?。きち(基地)、隠れ家、アジトなどとも呼んでいました。段ボール箱や新聞紙、破れた座ぶとん、材木置き場で拾ってきた木板、枯れ葉などで作った砦。この進化した形の「スローホーム」からまず始めましょう。

樹上の隠れ家ツリーハウス

ツリーハウス

ツリーハウス

別名「ロビン・フットの秘密基地」です。ツリーハウスは昔から東南アジアや南太平洋で造られてきましたが、70年代のヒッピームーブメントの時代には、アメリカでも大人気でした。

まず軽い。これは資源を無駄使いしていないということ。木造だから当然、廃材になっても環境を汚さないしリサイクルが効く。自然の樹と支柱のおかげで、衝撃も柔らかく受け止めてくれる……。

それより何より、ロープや手作りのハシゴで出入りするというのがドキドキしましたね。

登った後スルスルと引上げれば、第三者をシャットアウトした難攻不落の秘密基地の完成です。家族といえども「合い言葉」を忘れればハシゴを下ろさない、食料の調達はロープにぶら下げたバケツで、夜は天窓を開けてスターウォッチング。

移動式住居ティピー

ティピー

ティピー

北アメリカの森林・草原に暮らしていた先住民族の人々の伝統的な住居。季節ごとに住む場所を変える彼らにとって、かけがえのない「ホーム」でした。モバイル住宅とも言えます。

バッファローのなめし皮、森の樹を使った骨組みと、素材は全て自然からの贈り物。テントの中で火が使えることはもちろん、夏はティピーの裾をまくり上げることで風通しが良く涼しく過ごすことができます。

ティピーのフロアは「地球」を、壁は「空」、天井の開かれた穴は「スピリットワールドへの道」、真ん中で燃やす火は「神聖な母の大地」を意味しています。

火を囲み車座に座る。会話がはずみ、食事をとりながら酒を飲み交わせば「スローライフ」を実践できます。星の夜、広い草原にポッカリ浮かぶ三角錐のティピーに潜り込んで、スローな時間をお楽しみあれ。

地球に優しい藁の家

ストローベイル・ハウス

ストローベイル・ハウス

北米が起源の「ストロー(藁)・ベイル・ハウス」。1990年代以降、アメリカを中心にエコロジストや建築家たちなど、環境保全に関心を持つ人たちが再評価し、自宅として造り始めました。

家畜の飼料のほか、屋根や畳、俵などの材料として日本人の生活に密着してきた稲藁(わら)ですが、最近は用途が減り、目にする機会も少なくなってきています。

ベイルとは藁束を機械で圧縮して直方体のブロックにしたもの。このベイルを積み重ね、鉄筋や竹を上から突き刺して固定します。表面を土や漆喰で塗り固めると分厚い壁が出来上がり、その上に木の屋根を乗せる。

藁の家のどこが「スローホーム」か。

まず、食料生産の副産物だから建設コストが安い。断熱性に優れ、夏は涼しく、冬は暖かい。そして遮音性も高く室内は静か。何より、化学物質を使用しないので人体に優しいのが特徴です。おまけに、年月を経た最後には自然に土に戻ってしまうんですから。

農家に頼み込んで、稲刈りから始めるっていうのも、スローライフのやり方ですね。