久しぶりに訪れた街で以前よりも幹線道路が広くなっていたり、今まで木造住宅が建ち並んでいたところにいきなり広い道路ができていたりした経験のある人も多いでしょう。これらはいずれも都市計画道路の事業施行によるものです。
この都市計画道路にはどのような規定や制限があるのか、主なポイントを知っておきましょう。
都市計画道路予定地における建築制限
都市計画道路には既存の道路を拡幅する場合と、これまで道路がなかったところに新たに築造する場合があります。そして、細かな段取りを抜きに考えれば、大きく「計画決定段階」と「事業決定段階」の2つに分けることができます。そして通常は「計画決定」から「事業決定」までたいへん長い年月を必要とするため、計画決定段階であれば下記のような建物の建築が認められます。
□ 階数が2階まで(3階建て以上は建てられません)
□ 地階を有しないこと(地下車庫もできません)
□ 木造か鉄骨造など(鉄筋コンクリート造などはできません)
これが事業決定になると、事業として土地収用や立ち退き交渉、実際の道路築造工事にかかる段階ですから、災害時の応急措置的な建築や木造建物の改築など一定のものを除き、新たに建物を建築することはできなくなります。
道路予定地の上に建てられた新築住宅も売られている
計画決定段階では通常の木造2階建て住宅は建築可能であり、現実に都市計画道路上に建てられた建売住宅も販売されています。このような物件は周辺の相場よりも安くなっているでしょうが、いつ事業決定されるのか分からない場合が多いので、十分に注意しなければなりません。
実際に事業決定されるのは数年後かも、あるいは数十年後かも分かりませんが、周辺地域における事業の進捗状況や、土地の買取り(収用)相場などを見極めることも必要になります。
近年、話題になった都市計画道路として、東京都港区の新橋~虎ノ門エリアの環状第2号線(通称:マッカーサー道路)があります。戦後すぐに計画決定されたまま、都心部でありながら高いビルを建てることもできず、有効利用されない土地が帯状に広がっていました。
1998年に計画内容を変更して再度計画決定された後、2002年10月に事業決定され、約10年の工事を経て2014年3月29日に開通しました。ちなみに、立体道路化した部分の地上区間を「新虎通り」、地下トンネルを含む有明~虎ノ門間を「環二通り」としています。
これは戦後の計画決定から数えれば約70年かかっていますが、道路計画自体は関東大震災後の帝都復興計画をもとにしており、それを含めれば約90年を費やしたことになるでしょう。
一般の市街地でそれほど長くかかる例は少ないでしょうが、いずれにしても都市計画道路では建築制限が課せられる期間は長期になりがちです。
街並みを見たときに、道路沿いに低い建物が並んで少し奥まった位置から高いビルになっていたり、直線状に2階建ての建物ばかりが並んでいたりする場合には、「ここに道路が計画されているんだな」と判断することができるでしょう。
ただし、これからの時代は道路計画自体が見直されて廃止になるケースが次第に増えていくかもしれません。
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