住みたい街 首都圏/キケンな街の見分け方

東京でいちばんあぶない町!(3ページ目)

いつか必ずやって来るといわれる大地震に備え、住宅を購入するときは震災対策を考える絶好の機会にもなります。危険と判定された地域の事例を参考にして、自分が住む地域の特性を十分に理解することも重要ですね。

執筆者:平野 雅之


火災危険度1位の町

火災危険度の高い地域は、環状7号線の周辺にドーナツ状に広がっていますが、その中で最も危険だとされたのは品川区豊町五丁目です。この地域では、前記の足立区千住仲町や墨田区京島二丁目と比べて老朽建物の割合は低いように見受けられましたが、木造建物が隙間なく密集し、また、火気を使用する飲食店なども多いようです。さらに、それほど複雑には入り組んでいないものの、建築基準法上の道路にはなっていないものと推察される細街路や水路に沿って建てられた木造家屋も多く、周囲の建物との間隔が狭くなっています。


木造建物同士がほとんど隙間なく密着している。建物と建物との間を樹木が埋めている例も。

細い水路に沿って建物が並ぶ。細い路地などでも植栽が目立つ。

このエリアでは延焼の危険性とともに、火災発生時に消防車など緊急車両が進入できない路地が多いことも問題となるでしょう。細街路の拡幅や耐火建築物への建替え、改修が求められますが、建物と建物の間を木々が覆っている箇所も見受けられ、都市緑化の意識が逆に延焼の危険性を高める結果にもなっているようです。ただし、いざ大地震が来たときに火事を出すところがないようにすれば、この町の危険度はかなり低減されることでしょうね。


避難危険度1位の町

建物倒壊危険度や火災危険度が震災対策の遅れた古い住宅地で高めなのに対し、避難危険度は都心部のビジネス街、繁華街などで相対的に高くなっています。そのうち最も避難危険度が高いとされたのは港区西新橋一丁目です。事務所や店舗などが多く、昼間の人口密度はかなり高いほうでしょう。細い裏通りでは飲食店が数多く営業しています。


細い裏通りで営業している飲食店も多い。昼間人口の集中度に対して狭い道路も多い。

狭い道路に事務所ビルや店舗が建ち並ぶ。老朽建物がそのまま貸しに出されている例も。

昼間人口に比べて避難場所が少なかったり、あるいは相対的に避難場所が狭い都心部では、震災による一次被害よりも二次被害への対応を考える必要もあるでしょう。また、港区西新橋一丁目のような地域では、夜間の路上駐車などが避難の妨げになることも大いに考えられます。同じ地震が起きる場合でも、それが夜半~早朝に起きるのか、就業者の多い昼間に起きるのか、あるいは酔客の多い夜間に起きるのかで、全く異なる被害の様相を呈することになるのかもしれませんね。



ここまで、東京都が公表した地域危険度についてみてきましたが、これらは特定の地震を前提とせずに被害の可能性を地域間で相対評価したものです。政府・中央防災会議による首都直下地震の被害想定では、18通りの地震についてそれぞれ異なる被害規模が分析されていることからも分かるとおり、現実に起きる地震ではどの地域で最も被害が大きくなるのか、全く予断を許しません。ひょっとしたら比較的安全とされたあなたの町で甚大な被害が起きるのかもしれませんね。地震国である日本に住むかぎり、どこであっても地震への備えは十分にしておく必要があります。



ところで、日常生活の危険性は何も地震だけに限ったことではありません。犯罪被害についても十分に注意する必要があるでしょう。次のページでは、東京都における犯罪被害の多い町についてもみておくことにします。



page1 ≪前書き
page2 ≪総合危険度/建物倒壊危険度
page3 ≪火災危険度/避難危険度≫
page4 ≪犯罪危険度



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