昭和ロマンを残すか、住み手の快適性をとるか
海外の童話などに出てきそうなお洒落な木窓や壁紙の貼られた階段室を通って2階に上がるとホールがあり、そこから5つの小部屋と水回りに分かれていきます。2階の個室はほとんどが2面採光の、緑の中に浮かぶベッドルーム。深い森の静けさに囲まれながら深い眠りにつく場所というわけですね。
そして、庭に面した場所にはやはり広い畳の間が用意されており、ここから眼下に広がる芝生や森を見ることができます。多くの客人が泊まることのあるIさんの別荘としては、こうした個室の多さは重宝されているそうですが、まあ毎日のことでないとすると、ふだんの生活にこんな部屋数は必要なさそうな気もします。
すこし軋むような木の床とはげかけた白い壁、それはノスタルジックな感傷を別にするともう限界に近いのかなと思えます。このまま壁を塗り直し、水回りを改装し、部屋の壁を取っ払って大きな空間にするなどの一大リフォームをするという発想もないわけではありませんが、建物じたいの傷み具合や根本的な湿気&寒さ対策の見直しを考えると、やはり建て直すのがベターということになるでしょう。
Iさんは、ここを建て替えるにあたって、建築プロデューサーであるベースメントの朝妻さんに相談をされました。ベースメントではその要望を受けて、複数の建築家の方々からコンペ形式でプランを募り、Iさん夫婦はその中からひとつのプランに絞り込まれたと聞きます。それがどんなプランだったのか、またそれが実際のこの地に合わせてどう変わっていくのか……機会があればまたお伝えしていきたいと思います。
■プロデュース:ベースメント
■ベースメントがプロデュースした他の作品↓
ベースメントの「橡の家」
happy-projectで家づくり
線路脇の変形敷地に建つ家
ベースメントのプロデュースで建てた白い家