パブリックとプライベートを分かつ2つの階段
みぞぶちかずまさん(オデッセイ オブ イスカ)が世田谷の深沢に建てた「空庭の家」を見学しました。駅(自由が丘・都立大)から徒歩15分と少し歩くだけあってまわりの環境はかなりよく、屋上からは遠く駒沢まで見渡せる都心の一等地です。ただ、残念ながらまわりが住宅密集地であるため大きな庭が取れず、それをルーフテラスに持ってきたとのことで、ゆえに「空庭の家」というわけですね。
さっそく中を拝見しますと、エントランスホールからまっすぐ上に延びる階段があり、1階はその奥に広がるプライベート空間になっています。この階段は屋上のテラスまでドーンと繋がるかなり長いもの。その先にある開口部からの光がこぼれ落ちてきます。
エントランスホールの左手には客間用の和室があり、それに連なる形で小さな個室と主寝室があります。階段の奥にあたる部分はかなり広めの廊下兼収納室。廊下を兼ねたウォークインクローゼットのような空間ですね。
おや?と思うのは、この空間の裏にもうひとつの階段があること。なんでこんなところに隠れ階段が…? その理由は2階に上がってみて納得しました。こちらはプライベート空間から直接2階のパブリック空間(LDK)に移動できる家族専用の階段というわけでした。ようするに、この家はエントランスから直接LDKに行ける階段と、寝室から行ける階段が平行に2つ並んであるわけです。ちょっとビックリ!
オープンな空間とそうでない空間との明確な線引き
2階は前面に第1の空庭である大きなデッキテラスを持つLDKです。当然ですが、この部屋には2つの異なる空間に繋がる階段があり、そのせいもあってきわめて開かれた印象があります。1階が閉ざされた空間だったためか、このギャップがなかなか楽しい。
リビング+ダイニング側の天井は4メートル以上の高さ。キッチンと水回り(バスルーム)を含む北側は一段低くなっていますが、その屋上にあるテラスに通じる部分に開口部が取ってあり、南北の通風が確保されていました。
木造でもこの広さ! 気持ちが浮き立つのを感じます。また、これだけ白い壁のスペースが大きいと、これをどう飾ろうかとワクワクしてしまう。そのまま空けておいてスクリーン代わりに使うというのもいいですよね。
引き続き他の空間をお楽しみください!