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芝浦工業大学

優れた技術者の養成力で、産業界に広くその大学名が知られている芝浦工業大学。人材育成力の高さ、その掲げる「実学主義」について詳しい解説したい。

吉田 敦彦

執筆者:吉田 敦彦

学習・受験ガイド

芝浦工業大学が掲げる7つの新たな挑戦

創立80年を迎え、工学系の専門大学として芝浦工科大学はさらなる飛躍のための7箇条をあげている。

2007年に創立80年を迎え、芝浦工科大学はさらなる飛躍のための7か条をあげている

芝浦工業大学は、学部・大学院生の合計が約6000名の非常にコンパクトな大学である。そのコンパクトさを利用し、産業界で実際に仕事ができる実践的な教育で知られている。創立80周年の記念式典で、当時の学長であった平田賢氏は、以下のように今後の展望を述べた。

  1. 世界水準の授業の提供
  2. 基礎から積み上げる専門教育の充実
  3. 骨太の実践技術者教育
  4. 正課、課外を通じた人間形成
  5. 国際交流のさらなる推進
  6. 新分野への進出と新たな体制づくり
  7. 大学院を中心とした研究拠点形成

まず、「1.世界水準の授業」というものは、どういったものなのだろうか。これは3・5とも関連している。授業のレベルをあげるためには、まず教員の養成がある。FD(faculty development大学改革を示す用語)の改革の一つとして、教員評価制度を実施して、授業のレベルをあげる。新人の教員を養成するプログラムを実施するなどがある。

また、国際交流のひとつとして積極的に留学生を受け入れを展開している。大学院での留学生用の教育プログラムは、ハイブリッドツイニングプログラムと呼ばれ、国内外の大学と連携をとって修士課程と博士課程での一定の留学生を受け入れている。

特に芝浦工業大学では、東南アジアの大学との連携を促進している点がユニークだ。ベトナムのハノイ工科大学、ホーチミン大学、インドネシアのバンドン工科大学、隊のキングモンクット工科大学、マレーシアのマレーシア工科大学などと提携をすでに行っている。もちろん、授業や研究は英語で実施。道具としての英語能力をあげることが目指されている。

ただ、他の大学でもそうだが、日本の大学の場合、教員評価制度がうまく機能しているとは言えない場合が多い。大学の担当者によれば、結果は各教員に知らせるが、それによって賞罰の対象にはならないそうだ。賞罰の対象にならなければ、それほど授業の方式を改善しようとは思わないことになってしまう。まだまだこの点では、日本の大学は学生からの評価が直接賞罰の対象になる欧米の大学と遅れていると言えるだろう。

ところが芝浦工業大学では、優秀な教員を非常勤を問わず表彰している点が優れている。担当科目の授業運営あるいは教育改善活動において優れた実績を挙げ、学生に大きな刺激を与えた教員(非常勤講師を含む)を「優秀教育教員」として毎年表彰しているのだ。

「2.基礎から」という点で、芝浦工業大学が特に力を入れているのが、学習サポート室である。基底課目(数学、物理学、化学、英語の4教科6科目)での個別指導を実施。月曜日から金曜日までの午後2時30分~午後6時までの間、待機している教員から指導を受けたり、アドバイスを受けることができる。このような細かい指導を大学もやっているのかと驚かされる。

6・7については、大学院への進学率を40%を目標とし、大学院を研究拠点の中心とし、独自の研究を育成する。大学院の授業に英語での授業を導入し、より国際化を図るものである。

芝浦工科大学での研究は、きわめて現実的である。例えば、システム理工学部の機構学、ロボティクス研究室では、「各種歯車、ねじやばね、軸や軸受、ベルトやチェーンなどといった機械要素、さらにリンクなどを用いた機構の利点を有効に活用し、ロボティクスの技術を融合することにより、新しいものを創り出す研究」を行っている。具体的には、障害者や高齢者だけでなく、健常者にも使える歩行補助機の開発研究である。すべての機能を果たすロボットを開発するのではなく、人間が思いものを持ったり、階段の昇降をする補助をするための機械を開発しているという。現実に応用されれば、高齢者や障害者の日常生活の大きな助けとなるだろう。

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