2.スパム投稿を減らせる可能性がある?
誰でも自由に投稿できる「掲示板」や「ブログのコメント欄」などには、頻繁にスパム投稿が来ます。 これは、リンク先ページ(スパム投稿者が運営するページ)の評価値を向上させる目的で悪用できるからです。 それをできるだけ防ごうとするのが、冒頭でご紹介した「rel="nofollow"」の記述です。
その背景と理由を以下にご紹介いたします。
■被リンク数が多いほど評価される
GoogleやYahoo!などの検索エンジンは、ページ間のリンクを一種の「支持投票」だとみなします。
「たくさんリンクされているページは、それだけ重要度(人気度)が高いページだ」と判断するわけです。(※1)
▲リンクの多いページを「重要度が高い」とみなし、高い評価値を与える。 |
検索エンジンは、利用者に役立つ検索結果を提供すべく、「重要度の高いページ」をできるだけ検索結果の上位に表示しようとします。 その結果、「様々なページからたくさんリンクされているページ」は、検索結果の上位に現れやすくなります。(※2・3)
※1:この「他のページからリンクされている数」のことを「被リンク数」といいます。重要度(評価値)は、Googleの「PageRank」が有名です。
※2:実際には「『重要度の高いページ』からのリンク」の方が「『重要度の低いページ』からのリンク」よりも重視されます。 つまり、すべてのリンクが等価というわけではありません。ですから、単純に「多い方がよい」ということではありません。
※3:検索結果の表示順は、それ以外にも検索語との関連など様々な要因を考慮して決定されていますから、「被リンク数」だけで決まるわけではありません。しかし、「被リンク数」も重要な要因の1つです。
■誰でもリンクを作れる場所には、スパム投稿が増える
上記のことから、「検索結果で上位に表示されたければ、たくさんのサイトからリンクされる必要がある」と言えます。 しかし、「リンクして下さい」とお願いして回るには時間と手間がかかりますから非効率的です。 ましてや、アダルトサイトや非合法なサイトなど、怪しげなサイトへリンクしてくれる人はほとんどいないでしょう。
そこで、「誰でも自由に文章を投稿できる場所」に目が付けられるのです。
「掲示板」や「ブログのコメント欄」にスパム投稿が多い理由の1つはこれです。 誰でも自由に投稿できる(=リンクが作れる)のであれば、そこに自分で自分のサイトへのリンクを投稿すれば、楽に「被リンク数」を増やすことができますから。
また、比較的長く運営されているサイトであれば、掲示板やブログ自体の(検索エンジンからの)評価値もそこそこ高い可能性があります。 そのような「評価値の高いページ」からリンクが得られれば、手っ取り早く自分のサイトの評価値を高めることができます。 この理由から、スパム投稿が増えるのです。(※4)
※4:日本語サイト内の掲示板へも、英語やロシア語などの外国語でのスパム投稿がよくあります。 これは、閲覧者にリンクをクリックさせたいというよりは、「リンクを作ること」そのものが目的なのでしょう。 (もちろん閲覧者を誘導できればそれに越したことはないと考えてはいるでしょうが。)
■スパムサイトへのリンクは、自サイトの評価を下げる可能性がある
検索エンジンからスパムサイトであると認識されているページへリンクすると、リンク元のページ(=自分のページ)の評価も下がってしまう場合があります。(※5)
検索エンジンは、あるページ内に掲載されている文章について、「誰が書いた文章なのか」を知ることはできません。 ですから、掲示板やブログのコメント欄からスパムサイトへのリンクが書き込まれてしまうと、自分のサイトの評価を下げてしまうことになります。 自分の意志でリンクしたわけではなくても、です。
※5:Googleは、ウェブマスター向けガイドラインで「ウェブスパマーや不正なウェブサイトへのリンクは行わないでください。これらのリンクにより、サイトのランクが下がることがあります。」とアナウンスしています。
■評価値を渡さないリンク方法
そこで有効なのが、rel属性を使った「 rel="nofollow" 」の記述です。
前ページでご紹介したとおり、リンクにこの記述が加えられている場合は、「リンク先を信頼しているわけではない」という意思表示になります。 その結果、検索エンジンはそのリンクを「支持投票」だとはみなさず、「リンクされていないもの」として取り扱います。
これには、次の2つの効果があります。
- スパムサイトへのリンクが作られてしまっても、自サイトの評価が下がることはない。
- スパム投稿をしても検索エンジン対策効果が得られないので、スパム投稿の意欲を低下させる。
スパム投稿の目的が「被リンク数を増やすこと」であれば、この「rel="nofollow"」の記述が自動的に加えられてしまうところに投稿しても意味がありません。 そこに投稿しても検索エンジンには評価されないからです。 そのため、スパム投稿の意欲を低下させる効果が期待できます。(※6)
※6:スパム投稿には、「閲覧者にクリックさせて自サイトへ誘導する」という目的もあるでしょうし、すべての検索エンジンがこの記述を考慮するとは限りませんから、いきなりすべてのスパム投稿がなくなるとは考えられません。 しかし、何も対策を施さないよりは施しておく方が良いでしょう。
また、気付かないうちに自サイトの評価が下げられてしまう可能性をなくせるメリットもあります。
さて、最後に「rel="nofollow"」の使い方と、ページ内のすべてのリンクに対して同様の効果を手軽に与える方法をご紹介いたします。