肝心の音質 低音の臨場感は圧倒的!
まず、直ぐに実感できるのは、低音の圧倒的な力感です。 ベースやドラムがしっかりと聞こえ、コンパクトなヘッドホンからの音とは信じられない程です。低音の豊かさは、空気感の再現も得意で、特にライブ収録の音楽を聴くと、会場で腹の底に響く「地響き」のような臨場感が印象的です。ヘッドホンで、ライブの感動が蘇るのです!! これが、「次世代ダイナミック型ドライバー」の実力と言えそうです。
因みに、イヤーチップは、低反発素材で耳の穴の形状にフィットするフォームタイプと、一般的なシリコンタイプの2種類が付属していて、取り替えると音質がガラッとかわります。
フォームタイプは、とにかく低音の力感と空気感の再現に向いていますが、中高域の音が吸い取られてしまうのか、明瞭度や解像度感が低下する傾向です。
一方、シリコンタイプは、低音の空気感が低下するものの、日本人好みの引き締まった低音になり、ボーカルやピアノなど、中高域がクリアで抜けの良い音質が楽しめます。好みのジャンルや、気分によって、イヤーチップを替えるのが、SE115をより楽しむ秘訣と言えそうです。
装着感や使い勝手
イヤーチップは2種類、各3サイズ用意されているので、耳の穴の大きさや、音質の好みで選ぶと良いでしょう。筆者鴻池の場合、新幹線での移動など、長時間音楽を聴くケースが多いので、フィット感が良く疲れないフォームタイプが好みです。音質面では、シリコンタイプも魅力的ですが、長時間の装着では、耳に違和感を感じるでしょう。 いずれにしても、選べるので心配は不要です。
ヘッドホンから生え出しているケーブルは、約45cmと短めで、超小型の「iPod shuffle」を襟元にクリップするような際、ケーブルが余らずにスッキリできて重宝です。
また、約90cmの延長ケーブルも付属しているので、一般的な携帯型音楽プレーヤーやノートパソコンとの組み合わせも問題ありません。使い勝手も充分満足できるでしょう。
「SHURE SE115」は買いか?!
スペック競争になりがちなオーディオ業界において、「バランスドアーマチュア」の名を捨て、ダイナミック型ドライバーを選択したのは、セールス上、冒険的な決断だったと思います。しかし、スペック競争から離れ、限られたコスト中で、最大のパフォーマンスを得ようとする姿勢は、やはり、プロブランド「SHURE」の実力や思想を感じます。
「SHURE SE115」を試聴して、今後、世の中の低価格のバランスドアーマチュア採用製品が、ダイナミック型へ回帰しそうに感じました。
確かに、究極的な音質だけに注目すれば、4~5万円と高級なバランスドアーマチュアに軍配が上がりますが、「SHURE SE115」は、1万円程度とリーズナブルな価格で、コストパフォーマンスの高さを充分に感じられるでしょう。
新しい次元の豊かな低音も、一聴に値しますので、是非お試しを!!