10時間駆動のバッテリ
バッテリで10時間使用可能というのも見逃せません。重量は700g程度で、ソニーのVAIO Xも750g程度で10時間駆動します。これはカタログスペックで、VAIO XはJEITA測定法ですので、同程度の重量で圧倒的にバッテリ駆動時間が長いことがわかります(使用方法にもよるが、カタログ値と比較し、JEITA測定法では実使用時間は6割程度、アップルの場合、8割から9割程度)。
電子書籍に「も」適したディスプレイ
iPadを電子書籍端末として見ている方もいますが、そのような用途にも使えるだけです。Kindleのような電子インク(E Inkなど)を使った電子ブックリーダーとは現時点では別のカテゴリの製品です。電子インクは現時点では書き換え速度が遅く、カラーもコストなどの問題があります。それでも、Kindleのような電子ブックリーダーはiPadよりも軽く、バッテリ駆動時間は圧倒的に長いです。また文字読む場合の見やすさという点では、紙とほぼ同等の品質で液晶とは全く異なります。
電子インクを使った電子ブックリーダーは、どちらかというと小説など、文字をじっくりと読むものに向いています。
iPadは、ディスプレイに液晶を採用しています。その液晶もIPSという色がよりきれいに発色できる方式です。もちろん動画などにも対応可能です。これは、カラー写真が豊富な雑誌のようなコンテンツに適していると言えます。
また、今はFlashなどで再現されているリッチなコンテンツも、iPad向けにオーサリングすることで、今までとは違うジャンルのコンテンツが登場するかもしれません。
不満がないわけではない、が……
価格が安いと見ている方もいますが、5万円程度で一見安いのは内蔵ストレージの容量が16GBの製品だけです。資料などを大量に入れ、3Gの通信機能も入れると8万円近くになり、決して安いわけではありません。また、細かい点を見ると、カメラがない、WiMAXも無い、メモリカードなどで拡張できない、バッテリも自分では交換できないなど、不満な点はあります。電子書籍コンテンツに関しても、アメリカ以外での展開が見えてきません。
日本企業が似たような製品をすれば、より薄く軽く、バッテリ駆動時間の長いものが出来るでしょう。台湾系企業の製品ならよりバリュー感の高い製品になるでしょう。しかし、ハード、ソフト含めて完成度を上げることが出来るのは、OSや各アプリ、今回はプロセッサーまで自社の開発出来るアップルならではです。
スマートフォンとネットブックの間を埋めるカテゴリの製品を、ノートパソコンを小さくしたものではなく、iPhoneを拡張したもので攻めていこうというアップルの今後の動向には今まで以上に注目されます。
【関連サイト】
アップル iPad