返済猶予の利点、欠点
返済猶予を受けるにも、メリット、デメリットがあります。きちんと理解してから使いましょう。
ですが、逆に返済の猶予を受けると心配なこともあります。据え置かれている元金には利息がつきます。なので、総支払額は当初計画していた金額より大きくなります。また、返済期間を延ばすと、すでに定年退職を迎える年齢以降も返済を続けることになる可能性もあり、返済計画を十分に立てなくては不安が残ります。そして最大の心配は、返済猶予期間は支払う額も少なくいいのですが、猶予期間がおわり返済が始まるときに家計状況を回復させることができるのかどうか、ということです。
もし、家計の回復が無理であれば、猶予を受ける云々よりも、もっとよい対策があるかもしれません。
金融円滑化法による金融機関のリスク
金融円滑化法に応じる準備ができていない金融機関には、行政処分も検討する構えという金融庁。リスクがないように正常債権(債務者の財政状態及び経営成績に特に問題ない債権)扱いのままで、引当金(将来の特定の費用又は損失で、実際に発生した場合に取り崩していくための積立金)を積む必要も無いとしています。ただ、返済を猶予するということは、返済への時間延ばしでしかない場合もあります。猶予期間に状況がよくなっていればいいけれど、そうではない場合は、最終的に金融機関の損失になる可能性が高いのです。
また企業だけではなく、住宅ローンに困って返済猶予を受ける方も、猶予期間が終了するまでに返済がきちんとできるように整わないと、結局は先延ばしにして自分の状況をさらに悪くしてしまう、という可能性もあります。
金融機関にも確かにリスクはありますが、利用する側も知らず知らずにリスクを負うことになります。せっかくできた法律をうまく使えるよう、利用する側も「チャンス!」と飛びつくだけではなく、今後を見据えてお互いに安全に利用するよう心がけたいものです。
※今回の記事は、2010年2月16日の朝日新聞を参考にしています。