読者の方から貴重な質問をいただきました。

質問:「期待リターン10%、標準偏差15%の場合、期待リターンが上下15%、すなわち25%からマイナス5%の範囲内で生じる確率は68%」と言われますが、なぜ68%なのですか?68%という数字の根拠が分かりません

68は正規分布の面積

この質問に答えるには、確率・統計、そして正規分布という考え方から説明する必要があります。ガイドの低い数学力とテキストで答える(絵を描けない回答)方法では限界がありますので、分かりやすいサイトを探してみました。

標準偏差>富士山1>正規分布を見てみましょう

これは中川敬直さんのサイト(GMATなる米国資格を取るためのインターナショナルマスアカデミー)ですが、画像が理解しやすいと思いリンクを貼らせていただきました。要は68という数字は正規分布図の富士山のシルエットのような図形(釣鐘型曲線)の面積なのです。

さらに68%の数字の根拠を示す計算式は「イラスト・図解 確率・統計のしくみがわかる本」の250ページに出ています。しかし、計算式を知ってもあまり意味はないとガイドは感じています。やはり、それが定義であると再認識されるでしょう。統計の概念がつかめれば、「定義である」の一言で済ませて先へ進んでいいと思います。

シグマの範囲内で動く確率が3分の2

 大事なことは、投信などのリスク商品の値動き(市場との連動性)はある程度予測できるということ。そして確率を一定にそろえれば、すべてのリスク商品は公平に比較できるということ。そして、その基準の確率が3分の2(正確には68%)だと受取ることではどうでしょうか?

そこまで同意できれば、標準偏差は金融商品を選ぶときの有力なひとつのモノサシになります。標準偏差が大きいということは価格変動が大きいということを意味しますし、小さければそれだけ穏やかな値動きをする性質を持っているということです。

ただし、注意しなければならないのは、標準偏差は過去の値動きから導き出された統計的な成果であって、未来を決めるものではありません。しかも、現実の値動きが左右対称の正規分布に収まることもまずないわけで、あくまでもパターン把握という仮設に過ぎないことを納得してください。

投資家はどこまで心配すべきなの?

1標準偏差があるならば、2標準偏差も3標準偏差もあります。ひとつで68%ですが、2標準偏差の確率は95%、3標準偏差の確率は99%です。もう3標準偏差となると、100年に99年は想定内の値動きをするわけですから「ほぼ確実」といえるわけですが、それでも100年に1回のことが起きればポートフォリオは破壊されます。

投資をするときに、人はどの程度の安全を求めるべきなのでしょうか?3標準偏差までのリスクを考慮すべきという専門家の声もあるようですが、そこまで心配する人は投資なんかしてはいけません。銀行預金か日本国債に置いておくべきです。

人はどのくらいの確率でなら勝負できるか考えると、案外と3分の2くらいが適当ではないでしょうか?3分の1の確率では当てが外れるわけですが、悪い方にばかりはずれるとは限りません。良い方にぶれる可能性も半分はあるわけです。すると1標準偏差を超えて悪くなる確率は6分の1ということになります。100回に16回の頻度で期待を裏切るわけですから、そんなに分の悪いことではないような・・・まあ、この受け止め方は人それぞれでいいんでしょう。それこそが、人のリスク許容度です。

標準偏差で商品選び、でも市場リスクは選べない

さて、標準偏差によって人が金融商品を選べるということは、市場との連動性を選べるということです。リスクを極端に嫌う投資家にとっては、標準偏差の小さな銘柄を選ぶことで銘柄リスクを回避することが理論上はできます。しかし市場の値動きというリスクは回避できません。したがって、投資家が最後に負わなければならないのは市場リスク(マーケットリスク)だけなのです。それこそが投資の意味なのでしょう。

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