北海道の郷土鍋といえば、やっぱり海鮮鍋でしょう。タラにタチ(白子)、カニ、キンキ、サケ、ホタテ、アンコウなどなど。魚種が豊富なので、その時々のおいしい鮮魚と野菜をわんさと入れる、ダイナミックなところが北海道流。醤油、味噌、塩、ちり鍋と、味つけもその日の気分次第。素材がいいから、どんな味つけでもおいしいのだ。グツグツと沸く鍋の中では、魚介類から出るダシと野菜の旨みが入り混じり、幸せな香りが鼻腔とお腹を刺激します。

そんな海鮮鍋の中から、全国的に知名度の高い【石狩鍋】と、地元っ子が愛して止まない鍋壊し=【カジカ鍋】をご紹介しましょう。


■□■味噌とサケが絶妙な石狩鍋

【石狩鍋】は生のサケがたっぷり入った味噌仕立てのお鍋。北海道ではほとんどの鍋料理が魚介類の名称(例えばカニ鍋、タラ鍋)で呼ばれているなか、石狩鍋だけは地名が入った唯一の郷土鍋といえます。石狩(市)とは札幌の隣街で、車で40分ほどの距離。ここは昔からサケが多く揚がる場所で知られ、かつては三平汁のような塩味のサケ鍋が食べられていたのだとか。それが味噌仕立てになって評判を呼び、地名を取って石狩鍋と名づけられたといわれています。

この石狩鍋を最初にメニューとして出したのが、石狩市にあるサケ料理専門店【金大亭】。明治13年創業の老舗です。金大亭では味の要になる味噌は、甘めにつくった特製味噌を使用しています。切り身はもちろん、頭やアラまで加えるのがポイント。豆腐、糸こんにゃく、春菊、ネギ、玉ネギなど、ほかの具材もたっぷり入ります。白菜ではなく、キャベツを入れて甘味を出している点も、おいしさの秘訣なのだそう。そして、最後にさっとふりかける山椒の香りもたまりません。

ちゃんちゃん焼きでも知られるように、サケと味噌の相性は抜群。脂ののった生サケのいいダシが味噌と相俟って、コクのあるおいしさに。お腹はいっぱいでも、お汁だけは飲み干したい味わいです。

金大亭では江戸時代の製法で約8カ月かけてつくる「寒塩引」、イクラ醤油漬け、氷頭(鼻の軟骨)なます、ルイベ(刺身)、メフン(血合い)の塩辛など、サケづくしのコースで石狩鍋を提供しています。北海道では数少ない明治建築のお店でいただく伝統料理は、それだけで味わい深いもの。ぜひお試しください。

住所:石狩市新町1 TEL:0133・62・3011 交通:中央バス札幌ターミナルから石狩行き終点下車、徒歩3分 営業時間:11時~19時 料金:サケコース3000円~(要予約)

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