35年の愛をやっと成就させたふたり
長らく交際を続け、エリザベス女王も公認の仲になっているといわれていたチャールズ皇太子とカミラ・パーカー・ボウルズさん。60歳間近のこのおふたりがとうとう結婚するというニュースが、先日、世界中に配信されました。皇太子の再婚ですから、おめでたいニュースであるべきなのですが、世間の反応はかなり冷ややか。理由はいろいろあるわけですが、まずひとつは彼らの交際が、お互いに配偶者がいる頃からのものだったということ、つまり不倫のつき合いだったということ。そして、チャールズ皇太子の元のお相手が故ダイアナ元妃であったということも、大きく関与しているように思います。
故ダイアナ元妃といえば輝くような美貌で知られ、イギリスはもとより世界中で愛された人物。ところが、チャールズ皇太子とカミラさんの不倫で悩み、自身も不倫をした末に離婚。そして、パリでの自動車事故で非業の死を遂げました。この事故も一部ではイギリス王室の陰謀説が流れるなどかなり不透明。故ダイアナ元妃は悲劇のヒロインとなり、チャールズ皇太子とカミラさんは彼女を不幸に陥れた元凶として悪役扱いされるのもまあ無理からぬ話といえるでしょう。
故ダイアナ元妃が亡くなってから8年。そろそろ世論も落ち着いてきたとして結婚に踏み切ったわけですが、それにしてもこのふたり、知りあったのは1970年といいますから、なんと35年間も愛を育んできたわけで、これもひとつの愛の形なのだなあと感心する次第です。
ダブル不倫から略奪婚へ
チャールズ皇太子とカミラさんの結婚は、下世話な言葉でいうと、ダブル不倫から始まった略奪婚ということができます。いわゆる不倫略奪婚の場合、不倫の恋人とは結婚相手よりも後に知りあい、恋愛関係に陥ったというケースが圧倒的に多いようです。チャールズ皇太子とカミラさんの場合はやや様相が異なり、カミラさんからしてみれば、「チャールズの恋人は元はといえばこの私なのよ!」ということで、略奪婚という意識は案外薄いのかもしれませんね。
不倫略奪婚にはさまざまな「傷」が伴います。一番はそれまでの結婚生活を破綻させてしまうということ。配偶者はそれによって大きな心の傷を負い、また、子供がいれば子供も精神的なショックを受けることは想像に難くありません。周りの人たちの不幸の上に幸せがある、それが不倫略奪婚といえるでしょう。
人間の感情が移ろうものである以上、結婚したあとに配偶者とは別の人を好きになってしまう、あるいは結婚している人を好きになってしまう、というのは仕方のないことなのかもしれません。新たに好きになった人と新しい家庭を築くという道を否定するつもりはありませんが(といっても、不倫を全面肯定するつもりもありませんが……)、やり方や行動にはやはり細心の注意を払う必要があるのでははないかと思います。
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