タイの定番料理に日本人の細やかな感覚がプラス
近頃、アジア料理のなかでは、韓国料理に続いてタイ料理が身近になったと思う。複合施設内においては、たいていお店がはいっているし、カフェやデパートの惣菜店でも代表的な料理を見かけるようになった。今後はますますタイ料理を口にするひとが増え、レストランもそれとともに多く見かけるようになるのではないだろうか。そんな状況になりうるからこそ、今後は各店が独自の個性を打ち出し、印象に残るようにしなければならない。そう思うお店も少なくないのでは?
タイ料理でアツアツ&ほくほくのお釜ごはんが楽しめるなんて…! |
今回紹介するお店は、まさにそんな状況下を察するかのごとく、独自の看板メニューを掲げる店。池尻大橋にあるタイ料理店「ソウルフードバンコク」である。
池尻大橋駅東口を出てすぐ左手の2Fにある、この店の看板メニューは、「タイの鶏釜飯」。
いわゆるタイの屋台料理の定番、“カオマンガイ”をアレンジした料理なのだが、ここ「ソウルフードバンコク」では、お釜にタイの香り米(ジャスミンライス)、鶏肉、バイトーイ(パンダンリーフ)、しょうがなどをいれ、注文を受けてから炊き上げている。まさに、お米にうるさい日本人ならではの発想が生きたメニューだといえるだろう。
これにタイの甘口黒醤油(シーユーダム)をベースにしたものと、大豆から作られる調味料(タオチオ)に辛味を効かせた2種類のタレにつけて食べるのだが、炊きたてのごはん粒がなんとおいしいこと!炊きたてのごはんのおいしさは皆さんご存知のとおりだが、ここではなんといっても炊き加減が素晴らしい。タイ料理でこの感覚が楽しめるとは思わなかったので、和食やさんでおいしい釜飯を食べたときよりも、とっても美味しく感じられた。
鶏釜飯がテーブルに置かれ、ふたを開けると、お米たちはまるでハーブ風呂にでもはいったように艶やかに輝き、シャキンと行儀よくたっているのだ。しゃもじで切るようにかき混ぜ、お椀にふんわりと盛り、ハフハフしながら頬ばれば、米粒がほっくほく。う~ん、幸せ。思わず、まんまるい笑顔を浮かべてしまった。
加えて、鶏肉もおいしいこと。肉質に脂肪分が少なめだから、プリっとした食感が生きているうえ、凝縮された旨みまでも楽しめる。聞けば、筑波山麓の大自然の恵みをうけた「総州古白鶏」を使用しているという。