部屋に案内されると・・・
うわぁー!おもわず歓喜の声を上げてしまった。
テーブルには、殻つきのアーモンドやくるみ、緑のレーズン(といっても、サルタナレーズンとはちと違う)や砂糖菓子、ケーキなどのお菓子がいっぱい並んでいたのだ。
一見、日本でも見慣れた食材が並んでいるのかとおもいきや、よーく見てみると、日本のものとは色や形が少しずつ違っている。聞けば、これらのお菓子はみな、お母さんがウイグルからよいこらしょと持ってきてくれたのだという。
なかでもまず目についたのは、色とりどりのドライフルーツ。
ドライフルーツはウイグルの特産品なのだが、口に含むと、う~ん・・・とうなってしまうほど、どれもふっくらしっとりしていて味が濃く、なんともいえないおいしさだった。小粒でスリムな緑のレーズン、なかでもこれはチャンピオンもののおいしさである。
実はこの緑の干しぶどう、ほかの干しぶどうに比べて、かなり値段が高いらしい。ドライフルーツとは思えないフレッシュな酸味と凝縮された甘み・・・う~ん、納得の味わいだ。
見ためは他国と大差ないのに、ウイグルのドライフルーツってなんでこんなにおいしいんだろう・・・。
こんなつぶやきのような質問をお母さんに何気なくしてみたら、
「それはウイグルの湿度や昼夜の温度差がうまく作用しているのよ」という答えがかえってきたのだが、わたしは決してそれだけが理由だとは思えなかった。じゃぁ、ほかにはどんな理由があるの?
その答えは、お菓子を少しずつ全種類食べ終わり、おしゃべりを楽しんだあとになんとなくわかったような気がした。
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パイのようなお菓子のなかには、干しあんずをやわらかく煮てペーストにしたものがたっぷり。さて、スポンジケーキやパイのように見えるもの、これはなんとお母さんの手作りだ。中に入っているのは、これまたドライフルーツ。
ケーキを手でほっくりと割り、パクリと口の中にいれると、その香りと素朴な味わいとともに、なにか温かいものが胸にふっとこみあげてきた。
なかには別に特別な食材が入っているわけではなく、日本でも食べ慣れたドライフルーツのペーストなのに、味わえば味わうほど、さらに温かいものが胸に広がってくる。なんとも心地よく、そして不思議な感じがした。
ドライフルーツをはじめとする、ウイグルのお菓子がおいしいわけ。
それは、ウイグル人のもてなし方やくったくのない笑顔、これらがおいしくなる大きなエッセンスとなっているのではないだろうか。
今回わたしがお世話になったウイグル人は、なるべく現地と同じようなもてなしを、ということでお菓子をたくさん並べてくれ、おしゃべりも長い時間楽しみ、そして大いに笑って楽しい時間を過ごしたのだが、彼女たちと接していると、まわりの空気がとても穏やかで、そして不思議と時間がゆっくりと流れているように感じられたのだ。
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今回もてなしてくれたウイグルのウルムチ出身の母娘。こんなふうに感じたのは、わたしが接したウイグル人だけが穏やかな人柄だったからなのかもしれない、とも思ったけれど、お菓子や木の実、パンや季節の果物(写真にはないけれど)をテーブルに並べて客を迎え、そしてお茶をふるまい、おしゃべりを楽しみながらお菓子やナッツなどをつまんでその後に食事に突入!となる、ウイグル流のもてなし法をみていると、視覚的にも精神的にも、お客さんをリラックスさせて楽しませようとする気持ちが、しっかりと込められているように感じられ、このウイグル流のおもてなしこそが、おいしさを増しているのではないかと思えた。
そんなウイグルの料理は、これまた素朴さにあふれた心温まるものばかりだった。次回は、もてなし上手なウイグル人のお母さんのとっておきのレシピをご紹介します。
■ウイグルのお母さんのとっておきレシピ1
■ウイグルのお母さんのとっておきレシピ2
■ウイグルのお母さんのとっておきレシピ3