蒸し餃子は具がいっぱい。包んだら布の上に置き、蒸し上げるまで表面が乾かないように布をかぶせておく。具は、羊肉とかぼちゃ。餃子とウイグル。このふたつ、一見なんの関係もなさそうに感じるかもしれないが、実は深い結びつきがある。餃子といったら、中国から海を渡って伝えられた、日本でも大人気の食べものとして知られているけれど、この餃子の起源が、なんとウイグル、新疆ウイグル自治区だといわれているのです。(といっても、ロシア説とか諸説さまざまなのだが、そのなかでもウイグル説が有力らしい。)ウイグルは中国の西端に位置する。新疆ウイグル自治区は、インド、パキスタン、アフガニスタン、ロシア、モンゴルなど多くの国と接している中国西端の地域。一応中国に属してはいるけれど、シルクロードの交易の中心地として栄えたこの地は、食、音楽、生活習慣、そして宗教だけではなく、人々の顔からもさまざまな民族の影響を受け、中国とはだいぶ異なっているようである。個人的には、ウイグルは中国とこんなにも違うのだから、独立したひとつの国として認められるべきだよね、なんて思ってしまうのだが、そこには経済面などなど根深い問題がたくさんあり、そう簡単に片付く問題ではないようだ。日本にいるわたしがこんなことを言える立場ではないかもしれないけれど、なるべく早く、漢民族とウイグル族等の民族格差が軽減されるといいのに・・・と切に祈っている。うどんの麺は、ぐるぐる巻きにして少しずつ手で伸ばしていく。さて、餃子はそんな新疆ウイグル自治区のトルファンにある、アスターナ遺跡で化石らしいものが発見されてから、この地が餃子の起源だといわれているのだが、こんなところからもわかるように、ウイグルには蒸し餃子、水餃子、揚げ餃子などの餃子類をはじめ、うどん類等小麦粉を使った料理がとても多い。うどんだけでも、短い麺や長い麺、汁あり汁なし、味付けなど・・・それはそれはたくさんの種類があるのだ。まぁ、言うなれば、日本のすいとん、稲庭うどん、讃岐うどん、味噌煮込みうどん・・・といったように、たくさんの種類があるのと同じなのかな。片手で伸ばしたあとは、両手でテンポよく伸ばしていく。ウイグルは小麦粉食の国とはいうものの、インド、パキスタン、アフガニスタンなど米を食す多くの国々と接しているということもあり、小麦粉文化だけではなく、米文化もしっかりと根付いている。そんな多国の影響を大きく受けたウイグル料理は、わたしのなかで魅惑的な食文化圏としてしっかりと位置づけられているのだが、最近、食べる機会がめっきりなくなってしまった。というのも、以前ウイグル料理が食べたくなったら、新宿三丁目の「ドスルク」、大宮の「サルタナ」というウイグル料理店を利用していたのだが、しばらくして両店とも閉店し、ウイグル人が作ったウイグル料理が食べられなくなってしまったのだ。しかし先日、食いしん坊繋がりの友人からこんな朗報が届いた。「最近知り合ったウイグルの留学生女性のお母さんが、本国から日本に来るそうだから、料理を教えてもらいましょうか。」やったー!早速、お母さんの来日に合わせて留学生の彼女の寮におじゃまし、家庭料理を教えていただくことにした。教わった料理は、どれも比較的手軽に作れるおいしい料理ばかりでしたので、ここでレシピをご紹介しますね。でもその前に、ウイグル流のおもてなしから。12次のページへ