国保(国民健康保険)には大きく2つの制度がある
建設連合国保の保険料は、年齢別になっており、最高でも50歳以上の15,000円で家族1人2,000円。
日本の公的医療保険制度には、会社員が加入する「健康保険」、公務員が加入する「共済」、船員が加入する「船員保険」、そしてこれら以外の方が加入する「国民健康保険」という4つの制度があります。
そして、「国民健康保険(国保)」には2つの制度があります。
具体的には
■市町村が運営する国民健康保険
■組合が運営する国民健康保険
となります。
国民健康保険って、市役所等役所に窓口があるイメージがありますが、これは「市町村が運営する」国保です。
一方組合が運営する国保については、その存在があまり知らないため、「一体何?」と思われる方も少なくないと思います。
組合国保に加入するには組合員になる必要がある
さて、組合国保って一体どんな制度なのでしょうか?簡単に言えば「同業の自営業者が作る国保」ということになります。全国で185あり、主だったところでは、医師、歯科医師、薬剤師、税理士、弁護士、理容、美容、卸売市場などがあります。最初に触れた「建設国保」も組合国保のひとつです。さてこの組合国保に加入するには、組合員となる必要があります。組合員の資格については、各組合国保で要件を決めているわけですが、基本的には「医師国保」なら当然医師でなければなりませんし、「理容国保」なら理容業を営んでいることが必要となります。
「建設国保の偽装加入問題」は、建設国保に加入するには建設業を営んでいなければならないのに、建設業を営んでいない人が建設業者を装って加入していた、ということが真相と言えます。
組合国保のメリットとは?
偽装してでも加入したいと言うからには、組合国保には市町村にはないメリットがあるはずです。建設国保に限らず組合国保は、市町村が運営している国保に比べ
■保険料が一律の場合が多く、高所得者の保険料負担が低い
■給付内容が手厚い
と言われています。
市町村の国保は、所得に比例して保険料が上がる仕組みになっており、年間50万を超える場合もあります。一方組合国保は一律15,000円~25,000円程となっており、収入が高い人にとって特にお得感があります。
給付内容についても、先日報道で「18の組合国保で入院医療費が無料」という記事が出ているように、市町村の国保と同等かそれ以上の手厚さとなっています。
一方は火の車、一方は手厚い補助金が
組合国保が割安な保険料で手厚い給付を可能としている要因は何でしょうか。まずは、国から支給される手厚い補助金の存在があります。先日発表されたデータによると、給付費に対する補助金の割合が70%にもなる組合があったようです。
また、保険料の納付率も組合国保の方が高いと言われています。市町村の国保は他の医療保険制度に加入していない人の最後のセーフティーネットとして存在しているいます。一般的に組合国保で保険料を滞納すると脱退させられ、最後のセーフティーネットである市町村の国保に加入することになります。
保険料を納付している人は組合国保に残り、滞納者は市町村国保に加入する。どちらが財政的に健全なのかは一目瞭然ですね。
今回報道で出た「建設国保」は、医師国保や弁護士国保のような資格は特にいらない、「手軽に入れる組合国保」だったわけです。知る人ぞ知る「オイシイ制度」であった組合国保ですが、早くも補助金の削減の話も出てきています。
今後の組合国保の動向に注目していきたいと思います。
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