国際結婚/国際結婚アーカイブ

オシム監督の悲劇が家族に起こらないために

11月16日、サッカー日本代表のオシム監督が脳梗塞で倒れたというニュースが日本中を駆け巡りました。倒れた直後の状況はまさに不運続き。国際結婚カップルにも起こり得るかもしれない驚愕の事態だったのです。

執筆者:シャウウェッカー 光代

  • Comment Page Icon

外国で救急車を呼べますか?


突然ですが、質問です。

外国にお住まいの方へ:
・緊急時に救急車を呼ぶ電話番号を知っていますか?
・その時、電話の相手に、要件を伝えられますか?
・ご自宅の住所、あるいはその時いる場所を伝えられますか?

日本にお住まいの方へ:
・外国人の妻や夫は、緊急時に救急車を呼ぶ電話番号を知っていますか?
・外国人の妻や夫は、その電話の相手に、要件を伝えられますか?
・外国人の妻や夫は、自宅の住所、あるいはその時いる場所を伝えられますか?

これらができていたら、サッカー日本代表のイビチャ・オシム監督は、今、深刻な状態には陥っていなかったかもしれないのです……。

11月16日、オシム監督が脳梗塞で倒れたというニュースが、日本中を駆け巡りました。その事実だけでも驚かされたのに、倒れた直後の状況が分かってくるにつれ、驚きは怒りにも恐怖にも変わってきました。
その状況とは……

フランスから119番!?


オシムが語る
1日も早い回復が待たれるオシム監督だが……(写真は監督へのインタビュー集『オシムが語る』)
もう既にメディアの報道などで、監督が倒れた直後のいきさつをご存じの方も多いでしょう。
かいつまんで説明すると、こういうことでした。

16日未明、オシム監督は自宅で脳梗塞のために倒れました。自宅には夫人と、息子でジェフ千葉の監督アマル・オシム氏が同居しています。深夜、夫の異変に気づいた夫人は、息子にそのことを伝えましたが、アマル氏は救急車を呼ぶ電話番号を知らなかったのです。
これが第1の不運でした。

オシム監督の家族は誰も日本語が話せないそうです。アマル氏は関係者数人に電話をかけますが、深夜ということもあってか、誰とも連絡が取れませんでした。これが第2の不運です。

困り果てた家族は、元千葉のGMで現フランス2部グルノーブルのGMである祖母井(うばがい)秀隆氏に国際電話をかけます。フランスはまだ午後6時くらいだったので、幸い祖母井氏と話をすることができ、この緊急事態の説明をしました。
しかし、フランスからは日本の119番に直接通報することができないのです。これが第3の不運でした。

祖母井氏は、日本にいる何人かの知人に電話をかけ、つかまった人からやっと119番通報をしてもらうことができました。
ただ、これらの度重なるトラブルのため、夫人が異変に気づいてから病院に搬送されるまで、実に1時間以上もかかってしまったのだそうです。

脳梗塞や心筋梗塞の場合、発症してから数分が勝負と言われます。「梗塞」とは、血栓などで脳や心臓の血管が詰まってしまう状態のこと。脳梗塞が起こると、数分後には脳細胞が壊死(えし)し始めますので、処置が早ければ早いほど身体へのダメージは少なく、後遺症も軽くすることができるのです。
そんな大切な初期時間だったのに、電話番号を知らなかったということだけで、無駄に何十分も費やすことになってしまいました。

オシム監督は25日現在、いまだに意識不明で、集中治療室にいます。この度重なる不運がなかったら……と思うと、心臓に持病をかかえる監督の家族に、なぜ緊急事態のための対処法を誰も伝えていなかったのかと、悔やまれてなりません。


あなた自身と家族を守るためにできることは……


  • 1
  • 2
  • 次のページへ

あわせて読みたい

あなたにオススメ

    表示について

    カテゴリー一覧

    All Aboutサービス・メディア

    All About公式SNS
    日々の生活や仕事を楽しむための情報を毎日お届けします。
    公式SNS一覧
    © All About, Inc. All rights reserved. 掲載の記事・写真・イラストなど、すべてのコンテンツの無断複写・転載・公衆送信等を禁じます