蘇った1870年代のレシピ
アメリカ最大のビア・フェスティバルで何度も受賞している「サミュエル・アダムス・ボストン・ラガー」。全米はもとより、世界中のビア・フェスティバルでも金賞を受賞しつづけています。 |
実はジム氏、ビールと全く関係がなかったわけではなく、代々ビール醸造業を営むクック家の生まれです。でも、ジム氏の父親チャールズ氏のときは、アメリカではライトなテイストのビールが大人気。クック家が代々醸造していたビールは時代の流れにそぐわなり、1950年代後半、ビール業界からの撤退を余儀なくされてしまいました。
1980年代に入り、新しい食文化が次々と誕生していく中、常にビール業界に目を向けていたというジム氏は、クック家の6代目としてビール醸造に戻ることを決心。このとき、チャールズ氏は、2代目ルイス・クック氏が1870年代に醸造していたというお気に入りのビールレシピを息子ジム氏に託したのです。そして1984年、サミュエル・アダムス・ボストン・ラガーが誕生しました。
ライトビールが大人気だった時代を経て、アメリカ人の嗜好が多様化していく中で誕生したこのビールは、すぐにアメリカ国内での地位を不動のものとし、20年以上が経った今もなお、同社の主力商品であり、ビール愛飲家たちに愛され続けています。
ファミリーの想いやヒストリーがつまったレシピで造られたビールなんですね。こういうのに弱いガイドは、どれどれと飲んでみたくなってしまいます。
歴史上の人物「サミュエル・アダムス」の名前を冠する
ビールの名前は米国独立戦争時にボストンで活躍した愛国者、「サミュエル・アダムス」に由来するもの。実は彼の本業は、ビール醸造だったそうです。ジム氏が「サミュエル・アダムス」をビールの名前に選んだ理由は、「ボストンで活躍した愛国者」であり、「本業はビール醸造」と、そんなところにあるそうです。次のページでは、サミュエル・アダムス・ボストン・ラガーを飲んでみた感想をご紹介します。