みごとなラテアートの数々
フリーポア・ラテアート世界大会の優勝者、澤田さんの手がけるエスプレッソバー。一番人気はもちろん目の前で描かれる「ストリーマー・ラテ」!

ラテの最新ストリームを生みだす場所

ちょうど1年前、澤田洋史さんのラテアートと北米カフェ文化という記事で、世界的に名を知られるフリーポア・ラテアーティスト、澤田洋史さんの活躍をお伝えしたことがある。(お読みいただけていたら嬉しいです)
2010年4月、澤田さん自身が手がける初のエスプレッソバー「ストリーマー・コーヒー・カンパニー」が待望のオープンをはたした。ファクトリー・テイストの無骨でクールな内装が、新しいエスプレッソ文化の息吹を感じさせる。

イタリアの伝統的で重厚なエスプレッソ文化とは異なる、シアトルを中心とした現代的でライブ感溢れるエスプレッソ文化。
そのイタリア→アメリカ→日本という生い立ちに共感を寄せたのが、イタリアのジョルジオ・アルマーニから同様の経緯で日本上陸したアパレルブランド、A/X Armani Exchange(アルマーニエクスチェンジ)

「ストリートでカジュアルに」というコンセプトを同じくするA/Xとストリー マー・コーヒー・カンパニーとのコラボレーションにより、Tシャツ(すでに売り切れ)が生みだされている。

ストリーマーコーヒーカンパニーの店内
コンクリートや鉄の素材感そのままのファクトリーっぽい内装に、最初のころは「まだ工事中」と勘違いするお客さまも。

ラテアートはスポーツ!

軽快なリズムを刻みながら、カップからミルクがあふれだすぎりぎりの瞬間まで、フリーハンドでラテアートを描きあげていく一連のスリルに満ちた動き。それは澤田さんいわく「エクストリーム・スポーツ」だ。

その臨場感をダイレクトに伝えられるよう、店内はフルオープンキッチン仕様に。正確に体重をかけてコーヒー粉を圧縮するタンピングから、ミルクピッチャーを駆使してラテアートを描く作業まで、すべてをお客さまに目撃して楽しんでもらうため、2台のエスプレッソマシンはカウンターの前に置かずに側面に設置した。

レジカウンターで注文したら、目の前で繰りひろげられるスポーツマンとしてのバリスタの華麗な技を堪能してくださいね。

ストリーマーコーヒーカンパニーの店内
店名のSTREAMはラテアートの「流れ」と澤田さんの「沢」を意味する。ERを加えてエクストリーム感をプラス。

キャットストリート文化ともリンクして

平日の午前8時半から9時半までは、店内は東京在住の外国人でいっぱい! すぐそばのインターナショナルスクールに子どもを送ってきた父兄が、クオリティの高いラテを楽しんでいるのだ。店内には英語が飛び交い、日本人はバリスタだけ、という欧米の街角さながらの不思議な光景が展開されている。

周辺にはスケーター御用達ショップやストリートファッション系のお店が点在しており、ショップ店員たちがスケートボードに乗ったままストリーマー・コーヒー・カンパニーのカウンターに滑走してきてラテを注文する、なんていうシーンに遭遇することもある。

澤田さん以下、合計5人の男性バリスタもストリートファッションに身を包んでいるから、同じテイストに惹かれる人間どうし、説明しなくても匂いで察知しあうのかもしれない。

ニコンのCMに出演し、木村拓哉さんの目の前でラテアートを描いてみせた澤田さん。ストリーマー・コーヒー・カンパニーを訪れたお客さまの反応も、キムタクと同じ「わー、すげー!」。

自慢の一杯は「ストリーマーラテ」

お客さまの8割が注文するのがラテ。腕ききのバリスタが目の前で広口のカップにフリーポア・ラテアートを披露する「ストリーマーラテ」(520円)と、通常のラテ(370円)を分けたところに、お店の矜恃を感じる。

5人のバリスタのうち、ストリーマーラテを担当できるのは澤田さんを筆頭に3人だけ。そのうちの1人がバンクーバーの有名店Caffe Artigiano(カフェ・アルティジャーノ)で修業していた加藤健宏さん。澤田さんとは2007年にシアトルのコーヒーフェスティバルのラテアート選手権会場で出会ったという。

「そんな場所にアジア人が進出しているとは予想していなかったから、正直、あせりましたね(笑)」と加藤さん。

バンクーバーの有名店で技術を磨いた加藤健宏さん。趣味はアート、スケートボードをはじめとするスポーツなど多方面に渡り、ヨガのためにインドに滞在したことも!

北米エスプレッソ文化を伝える

加藤さんが働いていたCaffe Artigiaoのオーナー、サミー・ピッコロは、カナダのバリスタチャンピオンシップで4回もの優勝歴を持ち、ワールド・ラテアートのチャンピオンも経験。またワールド・バリスタ・チャンピオンシップの上位入賞の常連でもある。

高い水準を誇る北米のエスプレッソ文化を肌で呼吸してきた加藤さんは、帰国後、日本各地のカフェやバールを回ったけれど、自分が働きたいと思うお店にはめぐりあえなかったという。

「日本はヨーロッパのエスプレッソ文化が主流。技術もファッションも含めて、自分が体感してきたかっこいい北米エスプレッソ文化を提案するお店はないのか、と思っていたときに、澤田さんがお店をオープンすると知ったんです」(加藤さん)

ストリーマーコーヒーカンパニーの店内
冷たいミルクに濃厚なエスプレッソをショット2杯流しこむ「アイス・ストリーマーラテ」(520円)。ワイルドに落ちていくエスプレッソのストリームを視覚的にも楽しんで。

バリスタ・ファッションとライフスタイル

ダイナミックでイキのいいストリートの空気感を伝える澤田さんたちの姿勢に魅了されたアパレルブランドは少なくない。最初にご紹介したA/X以外にも、ナイキがスニーカーを、カシオがG-SHOCKを提供している。
もしかしたらいつか、ナイキとストリーマー・コーヒー・カンパニーのコラボで、粋なデザインの「水に強く、店頭に立ち続けても疲れないバリスタ仕様スニーカー」なんてものが生まれる可能性だってあるのだ。

物販コーナーには、ちょっと洒落を利かせたラテアートTシャツ各種、伝統的な注染てぬぐい専門店JIKAN STYLEとのコラボてぬぐい(売り上げは環境団体へのチャリティに)、リサイクルガラス製のロゴ入りマグカップ、バッグメーカーが裁断した革の残りで製作するスリーブなど、エコロジカルな視点を持つオリジナルデザインの雑貨が並んでいる。

業種を超えてさまざまなカルチャーと影響を与えあいながら、バリスタ主導の北米エスプレッソ文化がどのように東京の人々のライフスタイルに浸透していくのか、楽しみつつ見守りたいと思う。

2台のエスプレッソマシンは、ワールドバリスタ・チャンピオンシップの現・公式マシン「シモネリ」と、前・公式マシン「ラ・マルゾッコ」。独自に改造したマニュアル式。

コーヒー豆はダブルスープで

コーヒー豆は現在のところ、前述のサミー・ピッコロが開いたロースター49th Parallel Coffee Roasters等、国内外で焙煎された豆を自分たちでブレンド。ミルクと合わせたときに最高の相性を発揮することを重視しつつ、豆の個性を表現できるよう深煎りと浅煎りを混ぜているという。
「ラーメンで言う『ダブルスープ』(笑)」と澤田さん。

じつはオープン前に発注していたグラインダーがまだ届かないというアクシデントがあり、グラインダーが到着してから本格的に開発する予定だそう。

ストリーマーコーヒーカンパニーの店内
壁に飾られたスケートボードは、エコロジカルな竹製。澤田さんがラテアート選手権で優勝したときに描いたトリプルロゼッタがシンボルマークとしてあしらわれている。
気鋭のラテアーティストがつくりあげたストリーマー・コーヒー・カンパニーには、国内外から熱い視線が注がれている。休日になると北海道から九州まで全国の人々がラテアートを楽しみに訪れるのはもちろんのこと、欧米の有名バリスタたちもわざわざ足を運んでいる。

土曜日に来店したサミー・ピッコロは、大忙しの午後3時にカウンターの中に入り、バリスタの一員として活躍してくれたという。(彼がラテをつくる姿を至近距離で目撃できたお客さまはラッキーでしたね)

おすすめの時間帯は平日の午前11時前から13時まで。ランチを出さないので、この時間になると店内が空いてのんびりできる。たゆまぬ訓練から生まれる高度なフリーポア・ラテアートの楽しさと粋を、満喫してください。

STREAMER COFFEE COMPANY menu

Beverage
ストリーマーラテ …520円
ラテ …370円
モカ シュプリーム …450円
キャラメル・マッドスライド …450円
チャイティーラテ …370円
ココア …370円
オーガニックジュース(オレンジ or アップル)…350円

sweets
スイーツ各種(バナナチョコチップケーキ 380円、ファッジブラウニー 380円 etc.)

shop data

STREAMER COFFEE COMPANY(ストリーマー・コーヒー・カンパニー)
【住所】 東京都渋谷区渋谷1-20-28
【OPEN】 8:00~18:00
【CLOSE】 日曜日
【MAP】 Yahoo!地図情報
【最寄り駅】 JR「渋谷」駅より徒歩9分/メトロ「表参道」駅より徒歩12分。
渋谷駅から宮益坂下交差点を渡り、明治通りを原宿方面へ歩き、「宮下公園」の信号を右折、cocotiビルの裏の細道に入る。

※店内禁煙。テラス席のみ喫煙可&ペット同伴可。

※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。
※メニューや料金などのデータは、取材時または記事公開時点での内容です。