イベントで世界をひろげる
鹿児島銘菓「ふくれ」をベースに考案されたスイーツ「FUKU+RE」(500円) |
飲食業は全く初めてという小松さん。もちろん周囲の人々には無謀な挑戦だと言われたそうですが、私は「大人がつくるカフェ」という安心と手応えを感じました。
気負わずに、でも、たしかな志を持って街角に生まれたOnE drop cafeという一滴。この街角から小さな楽しい波紋がひろがっていきそうです。
書架にはスタッフが持ち寄った本が並びます。一冊の本が古いアイロンを重しにしてひろげてあり、視線を落としたページには「なにをするにせよ、いのちの源に近づけ」。どきりしとしたこの本は、ハワイの言葉を集めた日めくりのようなもの。 |
東京イーストの可能性
このエリアを選んで出店した理由について、小松さんはこんなふうに語ります。「門前仲町に住んでみたら、古い東京が残っていて魅力的だったんです。東京の東側には現代美術を扱うギャラリーも増え、コミュニティが生まれはじめています。そんな場所とつながりを持ちながらカフェができたら面白いと思ったのです。東京の他のエリアなら、もっと作りこんだお店が似合いそうでしょう? こんなふうにゆったりと、ゆるく作れるのはこの地域ならでは」
スタッフと会話を楽しみたいならカウンター席へ、ほっといてほしければソファ席へ…そんな使い分けも可能です。 |
OnE drop cafeでは音楽ライブやアート系イベント、写真家やイラストレーターの個展など、さまざまな出会いを生む催しが開かれています。
「本当にたまたま重なってしまったようで…」と小松さんは笑いますが、私がOnE drop cafeを訪れた夕方は二度とも、2時間後からイベント開始予定。ゆったりしていた店内は、開始時刻が近づくにつれ人々が集まって、いつのまにか満席に!
DJブース前に司会者の椅子が運ばれ、壁にプロジェクターの投影が始まります。店内がいっきに小さな期待に満ちた興奮に包まれるのを見ながら、カフェをあとにしました。