ひとりで静かに過ごすお客さまが大半というdico.ですが、何度か通って松本さんと言葉を交わすうちに、就職相談、失恋の話、離婚話などを話していくようになる人々も少なくないとか。
それはいささか聞くのが重たい内容では…と思いきや、「みんな悩みをちょっと吐きだしたいだけだから、僕が抱え込むことはありません。すっきりして帰ってもらえれば、それでいい」と、ほどよい温度の客観的な距離のとりかた。なるほど、それでお客さまは安心して話せるわけですね。
思わず私も「このあと午後4時から、長崎市内でどう過ごすか?」を相談したのですが、松本さんのアドバイスは素敵でした。若宮稲荷神社のお祭り「竹ん芸」の最終回が夜8時からおこなわれるから、だまされたと思って行ってみるといい、というのです。
アドバイスに従ったその夜、坂の上の小さな神社の境内で、私は地元の人々に混じって夜空を見上げながら得難い想い出をつくることができました。そして、旅先で良いカフェに出会う醍醐味のひとつは、そこから思いがけない小さなご縁が生まれていくことだと再認識したのです。