コーヒーとサンドイッチ
書架やはしごの上に並ぶたくさんの古本。壁にはギターや、トリュフォー作品のポスター。作り手のバックグラウンドが感じられる居心地のよい空間に、4分の1ばかり開いている窓から微風が入ってきて、天井のランプをわずかに揺らしています。
大きな黒板には、サンドイッチとトーストのメニューがずらりとが並んでいました。「サンドイッチは具材によってさまざまなヴァリエーションが作れるのが魅力」と松本さん。
その中から、チーズとトマトをはさんだサンドイッチ(700円)を楽しみました。島原のパン工房から毎日届けられるというグラハムパンは、こんがりトーストすると風味がひきたちます。
喫茶店育ち
松本さんがカフェを開いた契機は、遡れば島原で過ごした中学生時代。当時ちょっと背のびをして通っていた喫茶店で、松本さんは大人たちの広い世界に触れたようです。
「マスターや常連客は中学生の自分を大人扱いしてくれて、彼らから考え方や音楽やファッションを教わりました」
東京のデザイナー生活で壁に突き当たったとき、自分がさまざまな世界に興味を持つようなった原点はあの喫茶店だった--と思いいたった松本さん。帰郷後、今度は自分が若い人々に刺激を与えられるような場所をつくろうとdico.をオープンしたのです。
そんなdico.には、ちょっとディープな話をしにやってくるお客さまも少なくないようです。