タコと焼きトマトの炊き込みご飯 タイム風味
津田シェフが考案した「タコと焼きトマトの炊き込みご飯 タイム風味」(1,500円)は、お客さまの注文を受けてから作るために完成までに15分ほど要します。2~3人で取り分けるとちょうどいい量。ワインを飲みながら、たっぷりの野菜やお肉を楽しんだあとの仕上げに最適です。
さて、オーダーして15分後。ル・クルーゼの青いココット・ロンドが、専用の木製トレイにのってテーブルに登場。このトレイもル・クルーゼ製ですが、初めて目にするもの。お鍋の蓋を立てて置くための溝がある素敵なトレイです。
津田シェフがココット・ロンドの重たい蓋をあけると、ふっくらした白い炊き込みごはんの上に、鉄板で焼いた真っ赤なトマトが1個まるごと! タイムの枝がいい匂いを放っています。炊き込みごはんの具材は、カルパッチョにも使えるほど新鮮なタコのスライスと、自家製レモンの皮の塩漬け。
その場でスタッフがトマトを素早くほぐし、炊き込みごはんと混ぜ合わせてくれました。白かった炊き込みごはんが、トマトの色素と風味を吸収して薄ピンク色に染まっています。
さっそく一口。ふんわりひろがるトマトの甘酸っぱさに、レモンの香りが爽やかなアクセントを添え、咀嚼すると柔らかなタコの旨みがどんどんにじみ出してきて、たまらないおいしさです。
シンプルなのに奥深いその味わいに魅了されたお客さまから、よく作り方を聞かれるそうですが、ポイントはレモンの皮の塩漬けにあるよう。麹町カフェでは毎年、季節になると農家から送られてくる大量の無農薬有機栽培レモンを、まとめて塩漬けにするのですって。
ハムやベーコンも自家製です
フレンチレストランから和食店まで、さまざまなジャンルの厨房に立って経験を積んできた津田亜季さん。その腕前を存分に発揮して、出入りの魚屋さんに「カフェの域じゃない」と言われるほどたくさんの魚介を鮮度にこだわって仕入れ、自らさばいて活用しています。
ハムやベーコンも自家製で、旨みたっぷりの塩漬け豚バラ肉を主役にしたプレートも人気メニューのひとつ。写真上右はある日のランチに登場した「塩漬け豚バラ肉のロースト“プティ・サレ” レンズ豆の煮込みを添えて」。パン、スープ、サラダ、デザート付きで1,400円。お肉のボリュームは半端ではありません!
麹町カフェは、決して安さを売りにしたお店ではありません。それでも毎日たくさんのビジネスピープルが訪れるのは、化学調味料を使わない手作りのおいしさが真剣に求められているからなのでしょう。
ランチのために仕込むスープは、毎日20リットル! そのために津田シェフたちは日々、何十個ものタマネギをむいたり、ニンジンをスライスしたりの作業をこなさなければならないのですが、それを語る津田シェフの表情はなんといきいきと楽しそうなことか。お客さまと密なコミュニケーションをして手応えをつかんでいる人ならではの、料理の仕事をする喜びが感じられました。