店内は打ちっぱなしの無機的なコンクリートと、ぬくもりのある木の質感のコントラストがみごと。あたたかみを強調しすぎるとシャープさが失われるし、無機質なものばかりでは殺風景になると、絶妙のバランスで大人がくつろげる空間を構成しています。
落ち着いた色調のチェアは中目黒の家具ショップを探し歩いたもの。テーブルはオリジナルで、ここにも、柔らかな木とハードな金属の組み合わせが繰り返されています。
壁には写真家の作品が飾られていました。
「この写真家は一瞬を映し出す写真という道具によって、『時間』を撮ることを試みています。太古から変わることなくあり続ける自然の風景を、露出を開けっ放しで撮影することで、時間の流れを映し出そうとしています」
普遍的な事象の美しさに目を向ける、というカフェ・オブスキュラのコンセプトと共通点があるのを感じる、と柴さんは語ります。
「街の人たちの生活の一部になれたら」
カフェ・オブスキュラの目標は、地域に密着したカフェとして、地元の人々の生活の一部になること。仕事を終えて家に帰る前のワンブレイクに、あるいは気のおけない友人とゆっくり話をしたい夜に、おいしいコーヒーを提案します。ある種のカフェの“甘さ”になじめない人にとっても、この場所は快適な時間を約束してくれるはず。
しおりの形のショップカードには、小さな○が描かれていました。これはカフェでくつろでいるときの思考の泡と、サイフォンの泡をイメージしたのですって。本を持ってカフェ・オブスキュラに行き、浮かんでは消える思考の泡を、この小さな気持ちのよい空間に漂わせましょうか。