カフェ/カフェごはんを作る

サンフランシスコ消防署のサーモン料理

アメリカの消防署では、キッチンで料理当番の消防士たちがおいしい“家庭料理”に腕をふるいます。無数の物語のつまった消防署レシピブックから、アメリカ料理研究家なかがわさんに1品を作っていただきました。

川口 葉子

川口 葉子

カフェ ガイド

ライター、喫茶写真家。著書に『東京カフェ散歩 観光と日常』『京都カフェ散歩 喫茶都市をめぐる』(祥伝社)、『街角にパンとコーヒー』『東京の喫茶店 琥珀色のしずく77滴』(実業之日本社)他多数。雑誌、Web等でカフェやコーヒー特集の監修、記事執筆多数。Webサイト『東京カフェマニア』主宰。

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アメリカ料理の名物は、全米各地の「消防署料理」

表参道でアメリカ料理教室を主宰するなかがわかずこさん。彼女が大切にしているクックブックの中に、『FIREHOUSE FOOD COOKING WITH SAN FRANCISCO'S FIREFIGHTERS』という一冊があります。訳せば:
「サンフランシスコ消防署の消防士たちが作るまかない料理」

消防車でスーパーマーケットへ

ファイヤーファイターズ、つまり消防士たちは、毎日、消防署のキッチンで自分たちの食事をつくります。その日の料理当番が全ての献立をまかされ、消防車に乗ってスーパーに行き、材料を買ってきて調理をおこなうのです。
支払いは自分たちのお金で、1人あたり1日10ドル。当番はこの予算内におさまるように、完璧なランチと夕食を仕上げなければなりません。

24時間のハードな勤務体制のなか、みんなでダイニングテーブルを囲む食事の時間は消防士たちの一日の最大の楽しみ。彼らは「署員は全員ファミリーである」という意識が強いそうですが、お互いの信頼を深めるために、この食卓が大きな役割を果たしているのでしょう。

なかがわさんによれば、消防士たちの料理のおいしさは一般のアメリカ人にも広く知られていて、全米消防署料理コンテストが開催されたり、TV番組で有名シェフと消防士がBBQの競演をして人気を博したりしているのですって。


いつも最後の晩餐だからこそ、おいしい時間を

街の人々のピンチを救うことに対して、真摯な情熱と誇りを抱いているサンフランシスコの消防士たち。彼らは火災現場に駆けつければ火を消すために果敢に飛び込み、本日の料理当番としてキッチンに入れば、家族同然に大切にしている仲間たちに舌鼓を打たせようとコンロに火をつけるのです。

その日の消火活動で命を落とす可能性もあるわけですから、消防士たちにとってはどの食事も“最後の晩餐”。

「もし火災の通報があって出動したら、
 何に遭遇することになるか、
 自分がどうなるかわからないだろう?」

 勤続25年のベテラン消防士、カート・“突撃”・ニールセンは言う。 

「だから、でっかく生きて、でっかく食べるのさ。
 どの食事も、しっかり満足できるものであるように。
 なぜかって?
 どの食事が最後になるかわからないんだから」

『FIREHOUSE FOOD COOKING
WITH SAN FRANCISCO'S FIREFIGHTERS』 より
(訳:なかがわかずこ)

▼消防士たちのレシピは、豪快、おいしい、そして感動的。

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