この日いただいたのはお昼のメニュー「季節野菜のまるごとプレート」(1200円・写真上)。プレートの上に山形県新庄の在来種『さわのはな』の玄米おむすびと、地元・多摩で育てられた新鮮な野菜が盛り合わされています。
ひとつひとつが丁寧に作られ、滋味豊かな味わい。ゆっくり噛みしめながら食べていると、不思議なほどの満足感が心と胃を満たしていきます。
「お店に届いた野菜を見てからメニューを決めています。厨房に立つ自分が楽しくないと、お客さまにも喜びが伝わらないので、楽しみながら料理しています」とシェフの安田花織さん。
台所は地球につながっている
「ほんの少しずつかもしれないけれど、
台所から変えられる世界があるかもしれない。
そんな気が、してきませんか?」
テーブルの横にさりげなく置かれた小さな薄い本にはそう書かれています。私たちの毎日の食事は地球上のあらゆるものと密接に関わっているのです。
目の前に置かれた一皿。その野菜がどこでどんなふうに栽培されたのか、どんな経路で台所までやってきたのか、どんな調味料が使われるのか、食後にお皿はどのように洗われ、残ったものはどのように処分されるのか。ちょっと意識するだけで、一皿の背後に網目のようにひろがる世界が見えてきます。
経済効率を優先するか、それとも、スローに作られたものを優先するのか、選択肢をひとつずつ選んでいくのは自分自身。毎日をゆったりしたナマケモノのリズムで楽しみながら、台所の光景を今よりも少しだけすこやかに変えていくことで、ごく自然により大きな何かと共鳴しあい、つながっていける…そんな希望が胸にともるのを感じます。